基礎研究のコーナーでは、土にかえる電池「ツチニカエルでんち」や、Si(シリコン)ウエハー上に光デバイスを作製する技術を展示した。
「ツチニカエルでんち」は、“使用後も土壌や生物に悪影響を与えない電池”というコンセプトの元に開発が進められている電池である。従来の電池には、レアメタルや有害物質が使用されているが、「ツチニカエルでんち」には、セパレータと筐体、正極に生物由来材料が、電解液と負極には肥料成分が使われている。
NTTが同電池の動作確認をしたところ、測定電流1.9mA/cm2において、電池電圧1.1Vの電池性能を確認したという。さらに、この電池を複数個、直列に接続し、Bluetooth Low Energy(BLE)モジュール対応の温度センサーモジュールにつなぐと、センサーモジュールからの信号を受信できたとする。
「ツチニカエル電池」は、膨大なセンサーが使用されるIoT(モノのインターネット)時代を見据えて開発が進められている電池だ。NTTの説明員は、「1兆個のセンサーが使われるというトリリオンセンサー時代では、多数のセンサーがさまざまな環境に設置されると予想されるが、それら全てを回収するのは大変な手間がかかる作業だ。生物由来や肥料成分など、環境にやさしい材料で電池を開発することで、こうした課題に応えられるのではないだろうか」と説明する。今後はさらに電池容量を上げていくことが課題だが、用途も探っていく。「量産できれば安く提供できるようになる。まずは農業IoTなどで使われることを想定している」(NTT)
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