世界エレクトロニクス市場は近年、大きな転換期を迎えている。Chen氏は、「まず1つ目に、大きな成功を収めることができるのは、独自の社内ソリューションを開発することによって勝利した、ほんの一握りのシステムメーカーだけに限られるようになったという点だ。そして2つ目に、半導体メーカー各社の間で近年、数多くの合併買収が行われ、半導体メーカーの数が減少してきているという点がある。合併後の企業は、規模そのものは拡大するが、必ずしも、新しいビジネスモデルを構築することによって成長を遂げられるというわけではない」と説明する。
MediaTekは、世界半導体業界の中で生き残っている数少ない企業の1つだ。より組織的な成長を遂げていくための計画に基づき、ASICサービス事業への復帰を果たすという目標も明示している。
Chen氏は、「近年、どのような企業がASICサービスを提供しているのか」とする質問に対し、「Faraday TechnologyやGUCなどの台湾メーカーが、SoC設計サービスを提供している」と答えている。
また同氏は、「さらなる差別化を実現したASICサービスを提供することにより、市場への参入を果たしたいと考えている。Faraday TechnologyやGlobal Unichip(GUC)を超える"配置配線"を提供することができるだろう」と述べる。
Chen氏は、今後の展望を語るにあたり、MediaTekのASICに対する熱意の根拠を2つ挙げている。「まず1つ目は、当社が幅広い種類のIPポートフォリオを保有している」という点だ。通信やコンピューティング、コネクティビティの他、マルチメディアや周辺機器、RFに至るまで、あらゆる分野の最先端IPを取りそろえている。
そして2つ目に、ASICビジネスでは、顧客企業からの信頼を確保しなければならないという点がある。「大規模なASICソリューションを実現するには、高い評価を得ているパートナー企業の存在が不可欠だ。MediaTekにはその資格があると確信している」(同氏)
MediaTekは、同社のASSP製品開発チームとは別に、ASIC設計チームを確保している。Chen氏は、「ASICビジネスには、独自の文化と手法が必要だ」と説明する。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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