車載用埋め込みフラッシュメモリ技術のまとめ:福田昭のストレージ通信(98)STが語る車載用埋め込み不揮発性メモリ(11)(2/2 ページ)
車載用に限らず、埋め込みフラッシュメモリはCMOSロジック製造プロセスとの互換性を維持しなければならない。そのため、CMOSロジック製造プロセスの開発時期よりも、埋め込みフラッシュメモリ技術の開発時期は遅くなる。また互換性を維持するためのデバイス技術の工夫も、微細加工を難しくする。
微細加工の技術世代ではCMOSロジックに比べ、2世代以上、時期としては3〜5年ほど、埋め込みフラッシュメモリは遅れて進化してきた。しかも最近では、遅れがさらに酷くなりつつある。20nm未満の技術世代では、技術開発を国際学会で発表しているのはルネサス エレクトロニクスの16nm技術だけである。他のマイコンベンダーは、40nm技術、あるいは28nm技術で埋め込みフラッシュメモリの微細化が停滞しつつある。
埋め込みフラッシュメモリの技術世代と新規投入の年次。CMOSロジックの技術世代と比較して、遅れていることが分かる (クリックで拡大) 出典:STMicroelectronics
28nm以下の微細加工に対応すると期待されているのが、多層配線工程の中に記憶素子を作り込むタイプの不揮発性メモリ技術である。この技術については次回以降で述べたい。
(次回に続く)
- 車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリ
今回から数回にわたり、2017年12月に開催された「IEDM」で行われた車載用の埋め込み不揮発性メモリに関する講座の模様を紹介していく。
- ルネサス 100MBのフラッシュマイコン実現にメド
ルネサス エレクトロニクスは2017年12月6日、16nm/14nmプロセス世代以降のフラッシュメモリ内蔵マイコンの実現に向けて、フィン構造の混載フラッシュメモリの大規模動作に成功したと発表した。これにより、次世代マイコンにおいて、100Mバイト超の大容量フラッシュメモリの内蔵化に向けたメドを得ることができたという。
- クルマの厳しい要求仕様に応えるDRAMとフラッシュメモリ
今回は、自動車のエレクトロニクスシステム、具体的には、ADAS(先進運転支援システム)およびクラスタ・ダッシュボード、車載インフォテインメントで使われるメモリを解説する。さらに、これらのメモリの5年後のロードマップも見ていこう。
- 光ファイバー通信の基礎知識
今回から、「IEDM 2017」で開催されたチュートリアルから、シリコンフォトニクス技術を紹介する。まずは、光ファイバー通信の基礎から始めていこう。
- Uber車の死亡事故、センサーは機能していたのか?
Uberの自動運転車が起こした、歩行者の死亡事故。地元警察が公開した映像を見ると、高性能なはずのセンサー類が、歩行者をどの程度検知できていたのか、大いなる疑問が残る。
- 半導体プロセスの微細化は利益につながるのか
今後、半導体プロセスの微細化を進めていく上で、「微細化が本当に利益につながるのか」という疑問が出ているようだ。
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