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シーメンスとメンターの統合から1年、その成果は懐疑的な意見も多かったが(1/3 ページ)

Siemens(シーメンス)は2017年3月に、Mentor Graphics(メンター・グラフィックス)の買収手続きを完了させた。この合併買収は、エレクトロニクス業界にどのような影響を及ぼしたのだろうか。

» 2018年07月09日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

 Siemens(シーメンス)は2017年3月に、Mentor Graphics(メンター・グラフィックス、以下Mentor)の買収手続きを完了させた。この合併買収は、エレクトロニクス業界にどのような影響を及ぼしたのだろうか。

 インフラソリューション大手のSiemensによる、EDAメーカーMentorの合併買収は、当初、投資家やEDAコミュニティー、メディアなどからは懐疑的な見方をされていた。しかし、同社のCEO(最高経営責任者)兼プレジデントを務めるJoe Kaeser氏は、その約1年後となる2018年6月に、ニューヨークで開催された投資家向けカンファレンスにおいて、Siemensの「デジタルファクトリー」戦略に関する事実を説明し、Mentor買収について、次のような説得力のある主張を行った。

 「これまで長期間にわたりSiemensをサポートしてくれた人々からは、何度も疑問を提示された。例えば、『デジタルファクトリーという戦略は、本当に実行する価値があるのか』『本当に成功の見込みはあるのか』『Unigraphicsなどの企業や、さらにMentor Graphicsでさえも、買収の際に過大評価したことで、必要以上に資金を浪費してしまったのではないか』といったことなどが挙げられる。私は今回、これまでの選択が正しかったということを皆さんに伝えたい。実際のところ、当初の予測よりもはるかに良い状況に転じており、間違いなく正しい選択だったと言える」(同氏)

デジタルファクトリー市場における、シーメンスのシェアの成長 出典:Siemens(クリックで拡大)

 Kaeser氏によると、Siemensのデジタルファクトリーイニシアチブは現在、特にMentorの買収後に、その効果を発揮しているという。Siemensのデジタルファクトリー市場におけるシェアは、2017会計年度第1四半期には4%だったが、2018年会計年度第2四半期には20%まで拡大している。

 Mentorのチェアマン兼CEOであるWally Rhines氏は、米国カリフォルニア州サンフランシスコで2018年6月24〜28日に開催された「Design Automation Conference(DAC 2018)」において、EE Timesのインタビューに応じ、「Siemens PLMおよびMentorにとってこの1年は、新たな記録を更新した年となった。また、2017年10月にSiemens PLM Softwareのプレジデント兼CEOに就任したTony Hemmelgarn氏は、「間もなく、2019年に向けて掲げた野心的な業績目標に到達する勢いだ。また、約34億ユーロの売上高を見込んでおり、市場において優れた業績を達成できるとみている」と述べる。

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