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» 2018年10月25日 11時30分 公開

LEDへ地道に取り組むオスラム、次世代の光技術を聞く植物工場にビジネスチャンスを見る(2/3 ページ)

[松本貴志,EE Times Japan]

量子ドットを採用した新製品が登場

EETJ OSRAM Opto Semiconductorsで高い競争力を持つ製品は、どのような面で優れているのでしょうか。

Dieppedalle氏 ハイパワー、そしてミッドパワークラスの両方で高い競争力を持つ製品をそろえている。

 道路灯や防犯灯など屋外照明に用いられるハイパワークラスは、われわれが高い市場シェアを得ている。この理由は3点あるが、1点目はわれわれの製品がハイパワークラスで最も良い性能を発揮していること、そして2点目は屋外用途に耐えうる高い信頼性を有していることが挙げられる。3点目は、われわれがLEDに関する確固たる知的財産を有していること。この点も、顧客がわれわれの製品を安心して利用できる理由となる。

 また、従来のハイパワーチップでは基板材料にセラミックを用いていたが、われわれは今後の製品でプラスチックを材料材料として用いる予定だ。この理由として、屋外照明用途として高い性能と信頼性を確保しつつも、コスト面で顧客の要求に応えるためだ。

 ミッドパワークラスでは、発光効率の改善に集中して取り組んでいる。また、ミッドパワーの製品についても信頼性は非常に重要だ。われわれはハイパワーで培った信頼性技術を生かし、高い信頼性をもったミッドパワー製品の開発を進めている。この思想で開発した製品が「OSCONIQ S 3030」だ。2018年末までの製品リリースを目指している。

 ミッドパワーは、オフィス照明のベースライトやパネルライトなどが想定用途となるパワークラスで、日本では最も大きなLED市場とされている。この市場では、大手日系某社の3030パッケージがデファクトスタンダードな立ち位置を築いているが、OSCONIQ S 3030はこの製品とピン互換性を有しており、そのまま置き換えることが可能だ。

 また、OSCONIQ S 3030は量子ドット(QD)を採用しており、変換効率が大幅に向上した。通常のオフィスでは、CRI(演色評価数)80程度のLEDが主に用いられているが、CRIはより高い数値が好ましいとされる。しかし、従来のLEDではCRIを向上させると変換効率が低下するという課題があったが、QDの登場でCRIを改善させつつも変換効率の低下を最小限に抑えられるLEDを開発できるようになった。

OSCONIQ S 3030シリーズのカタログスペック(クリックで拡大) 出典:OSRAM Opto Semiconductors

 また、チップスケールパッケージ(CSP)を採用した製品の開発も進めており、われわれのCSPはチップと完全に同じサイズとなる。他社のチップでは側面からの発光が発生するためチップよりも大きなパッケージサイズとせざるを得ないが、われわれは独自に完全上面発光のチップを開発し、CSPを実現できた。CSPを用いた製品の用途例としては超狭角ダウンライトなどがある。CSP製品についても2018年末までのリリースを予定している。

植物工場に次世代のビジネスチャンスを見る

EETJ オプトエレクトロニクスでは、さまざまな分野で未来のビジネスが生まれています。OSRAM Opto Semiconductorsの一般照明事業では、どのような分野に注目していますか。

Dieppedalle氏 一般照明事業について大きく市場のカテゴリー分けをすると、物体を照らす「一般照明」市場と、植物工場に適した光源を取り扱う「植物育成(horticulture)」市場がある。一般照明市場は年平均成長率(CAGR)が約6%と予測しているが、植物育成市場はより急速に成長している。われわれは、この市場でもマーケットリーダーの立ち位置を築いている。

 従来の光源を利用した植物工場では、植物の上部に光源を設置する手法が一般的だった。一方で、LEDを採用する最近の植物工場は、光源が植物の育成に悪影響な熱を発さないため、植物に非常に近いところで光源を設置できるメリットがある。また、植物の成長に必要な波長の光のみを発行できることも強みだ。

 植物育成において大きな市場として成長しつつある地域が欧州、特に北欧となる。北欧は気候の影響もあり、今まで南欧より野菜などの植物を輸入してきたが、北欧各国は産業として植物工場を数多く立ち上げている。

Oslon Square Hyper Redのイメージ(クリックで拡大) 出典:OSRAM Opto Semiconductors

 われわれがなぜ植物育成で高い市場シェアを獲得したか。それは、植物育成用LEDを製造する企業で唯一、前工程から後工程まで自社でコントロールしているためだ。植物育成で重要となる波長は青色光と赤色光の領域に存在するが、われわれは赤色光となる波長660nmの光を発するLEDチップ「Oslon Square Hyper Red」を自社で生産しており、もし顧客からパッケージングについて個別に要望があった場合にも、われわれは柔軟に対応できる。これが高い市場シェアを得ている理由だ。

 植物育成の市場は始まったばかりで、今後高い成長が期待できる。さまざな植物工場があるが、まだ従来光源が残る工場は多い。他の市場でもあったように、植物育成市場でも従来光源からLEDへの置き換えが進むだろう。われわれも、この660nmチップ増産のため、工場を拡張して新生産ラインを構築している。

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