ファウンドリーの間で現在、EUV(極端紫外線)リソグラフィを使用した業界初となる半導体チップを実現すべく、競争が繰り広げられている。Samsung Electronics(以下、Samsung)は、「EUVリソグラフィを適用した複数の7nmプロセスチップをテープアウトした」と発表した。
ファウンドリーの間で現在、EUV(極端紫外線)リソグラフィを使用した業界初となる半導体チップを実現すべく、競争が繰り広げられている。
Samsung Electronics(以下、Samsung)は、「EUVリソグラフィを適用した複数の7nmプロセスチップをテープアウトした」と発表した。同社のライバルであるTSMCも2018年10月初めに、同様の発表を行っており、Samsungはそれに続く形となった。また同社は、IP(Intellectual Property)およびEDAインフラストラクチャの性能向上を実現した他、TSMCのエコシステムに追い付くための取り組みの一環として、パッケージング性能に関する詳細を明らかにしている。
Samsungは、16GビットDRAMチップをベースとした、256GバイトRDIMMのサンプル出荷を開始したことの他、Xilinxの組み込みFPGAを搭載したSSDに関する計画についても発表している。しかし、今回のイベントの目玉は、7nmプロセスに関する発表だ。EUVマスクの検査システムを社内開発したことによって加速された、マイルストーンだといえる。
Samsungの「7LPP」プロセスは、10nmプロセスに対して、最大40%の面積縮小と、最大20%の高速化、50%の低消費電力化を実現することが可能だという。Samsungは、「われわれは、AnsysやArm、Cadence(7nm向けにデジタル/アナログフローを保有)、Mentor Graphics、Synopsys、VeriSiliconなども含め、計50社のファウンドリーパートナーがおり、7nmプロセスチップをテープアウトした」と述べている。
7nmプロセスは、Web大手やネットワーキングメーカーの他、Qualcommなどのモバイルベンダーといった顧客企業にとって魅力的な技術だとされている。しかしSamsungは、顧客企業に関する発表を行うのは、2019年以降になる見込みだとしている。
Samsungのファウンドリーマーケティング担当ディレクターを務めるBob Stear氏は、「韓国の華城市(Hwaseong)にあるSamsungの『S3』工場では、2018年初めからずっと、EUVシステムで250Wの光源を使用してきた。ウエハー処理能力を1日当たり1500枚まで高めることに成功した。EUVシステムの光源は最大出力280Wに達し、当社は現在、300Wの実現を目指している」と述べる。
Stear氏は、「EUVは、既存のArF(フッ化アルゴン)液浸露光装置で必要とされる5枚目のマスクを使用せずに済むため、生産量を増加させることが可能だ。しかし、フロントエンドプロセス(FEOL)の基層では、まだマルチパターニングが必要である」と述べる。
Samsungは、予測されるマスクパターンと実際のマスクパターンとを比較して修正するために独自システムを開発し、EUVでの生産を加速させていきたい考えだ。米国の市場調査会社であるVLSI ResearchのG. Dan Hutcheson氏は、「このシステムは、一般的なサードパーティー企業の検査装置のように自動化されているかどうかは不明なため、マスクレビュー装置だといえる」と述べている。
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