東芝と東芝デバイス&ストレージは、通信距離が長いBluetooth Low Energy Ver.5.0規格に準拠したSoC(System on Chip)を開発した。
東芝と東芝デバイス&ストレージは2018年9月、通信距離が長いBluetooth Low Energy (BLE) Ver.5.0規格に準拠するSoC(System on Chip)を開発したと発表した。通信モジュールの小型化も可能とした。同年9月より量産出荷を始める。
消費電力が少ない無線通信規格「BLE」は、スマートフォンなど多くのモバイル機器などに搭載されている。BLE Ver5.0は、通信距離を従来の約4.6倍となる600mまで広げた長距離対応の新規格である。
これに対応するSoCは、送信電力を増加させる必要があり、送信機の電源電圧を上げるか、送信機の負荷インピーダンスを下げなければならない。ところが、電源電圧を上げると通信モジュールの形状が大きくなり、負荷インピーダンスを下げると通信距離を延ばすことができないという課題があった。
そこで同社は、BLE Ver5.0向けの送受信インピーダンス整合技術を新たに開発した。トランスを用いたインピーダンス整合回路に雑音除去フィルターを搭載することで、受信感度を向上させた。これまでのように、インダクターを用いたインピーダンス整合回路に雑音除去フィルター機能を追加すると、損失が大きくなり受信感度は劣化していたという。
また、インダクターを用いると、チップ面積のほとんどが配線禁止領域となる。これに対しトランスを用いた場合、送受信機全体における面積増加分は1%程度と小さい。このため、通信モジュールを小型化することが可能となった。同等の通信距離を実現できるSoCに比べて、モジュールに搭載する部品数も約半分に削減できるという。
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