IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズの第2回。今回は、自動車市場に焦点を当てる。
IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズの第2回。第1回「相当厳しい2019年前半、米中摩擦激化も」では、半導体市場全体を取り上げた。今回は、半導体/エレクトロニクス産業全般の市場分析/ビジネス分析を担当するシニアアナリストである杉山和弘氏に、自動車および車載エレクトロニクス市場の展望を聞いた。
EE Times Japan編集部(以下、EETJ) 2019年の半導体業界は、メモリ市場の低迷が予測されていますが、自動車業界についてはいかがでしょうか。
杉山和弘氏 自動車の生産台数は横ばい状態が続いているが、電子化は進んでいる。自動車1台当たりに搭載されている電子システムは、現在約1400米ドルくらいだ。これが2022年には約1600米ドルに増加するとみている。1400米ドルのうち、半導体は、ガソリン車で約220米ドル、電気自動車(EV)では約400米ドルになる。レベル3の自動運転車では、800米ドルくらいになると予測されている。こうした背景から、自動車向けの半導体は今後も堅調に伸びていく。
EETJ EVや自動運転車の開発状況は、いかがでしょう。
杉山氏 EVの開発は、どちらかというとスローダウンしていると考えている。EVでは、電気モーターのみで走行する完全なEVではなく、モーターを内燃機関の補助として使うマイルドハイブリッドの開発の方に、特に欧州の自動車メーカーが力を入れ始めている状況だ。
一方で、自動運転車については、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の開発が活発になっている。特に欧米の自動車メーカーが積極的に進めている。2018年にはAudiが、レベル3の自動運転車「A8」を発売した。さらに、Audi、GM(General Motors)、BMWは2020年にもレベル4対応の自動運転車を市場に投入すると発表している。
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