EETJ カーシェアリングなどのサービス市場の動向は、いかがでしょうか。特に、自動運転車と組み合わせたサービスの開発も進んでいるようです。
杉山氏 UberやWaymoは、自動車メーカーと提携して実証実験を積極的に進めている。われわれは、レベル4〜5の自動運転車の市場が立ち上がってくるのが2020年以降で、2025年から2030年にかけて、レベル4やレベル5の自動運転車が市場に投入され始めるとみている。2030年には、自動運転機能を搭載したクルマのうち、約10%がレベル3〜5の自動運転車になると予想している。
その中で、30〜40%くらいのシェアを獲得しそうなのが、ティア4、つまりUberやWaymoなどカーシェアリングサービスを手掛けるメーカーが投入してくる自動運転車だ。UberやWaymoは、JaguarやTeslaから自動運転機能を搭載したクルマを購入し、それにセンサーなどを追加して、自分たちのビジネスに使用している。このようなメーカーはサービスで収益を得るので、自動運転車そのものの価格を気にしていない。むしろ、どんどんセンサーを付けた方が、サービスに使えるデータも増えるので、多数のセンサーを搭載した高価な自動運転車でも構わないという考え方なのだ。
EETJ その他、自動車業界の動きで注目しておいた方がよいトピックはありますか?
杉山氏 CO2規制が変わるかもしれないという話も聞いている。現在は、走行中に排出されるCO2の量について規制しているが、これを、「Well to Wheel」(井戸から車輪まで)といって、「石油や石炭の採掘から発電、走行までを含めたCO2排出量」について規制しようという動きが出てきている。狙いははっきりしていて、欧米が、EV開発で先行する中国の勢いを規制の観点からスローダウンさせることだ。中国ではまだ石炭を使っていることも多いので、このWell to Wheelを当てはめて排出量を算出すると、欧米のEVの方が格段に低くなる可能性がある。
さらに、この考え方では、CO2の排出量がEVとハイブリッド自動車で同等レベルになる。そうなると、ハイブリッド車に強い日本の自動車メーカーにとっても悪い話ではないだろう。
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