2018年、2019年のメモリの学会「International Memory Workshop」(IMW)に参加し、見えてきた新メモリの動向を紹介したい。
半導体メモリの国際学会であるInternational Memory Workshop(IMW)が2019年5月12日から4日間の日程で、米国カリフォルニア州のHyatt Regency Monterey Hotelで開催された。初日の12日はチュートリアル、13〜15日の3日間が本会議だった。
筆者は昨年(2018年)、京都で開催されたIMWから2年連続で、記者として本学会に参加した。本稿では、この2年間のIMWの論文から見えてくる新メモリの動向を報じる。
また、IMWは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(米国電気電子学会/以下、IEEE)公認の学会であるが、IEEEのデータベース(IEEE Xplore)を用いて新メモリの論文動向を調査した。その結果も、紹介する。
結論を先取りすると、IMWでもIEEE Xploreによる論文調査でも、ReRAM(抵抗変化メモリ)を用いたNeuromorphic*)の論文数が急増しており、近い将来ブレイクする予感がする、と言える。
*)Neuromorphic(ニューロモーフィック):人間の脳を模したコンピュータ。
IMWの論文投稿数と採択論文数の推移を図1に示す。今年(2019年)は、74件の投稿があり、20件が採択されて口頭発表となった。その採択率は27%で、これは2019年6月に京都で開催されるVLSIシンポジウムなどに匹敵する狭き門である。また口頭発表以外にも、ポスター発表が13件、招待講演が12件あった。
次に、IMWの主催者が発表した2018年と2019年の新メモリの論文数シェアを図2に示す。2018年から2019年にかけて、ReRAMとMRAM(磁気抵抗メモリ)の論文シェアが大きく減少している。その一方で、PCRAM(相変化メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)および、Neuromorphicの論文シェアが増大している。
ここで、筆者は、特にNeuromorphicに注目している。その理由を次ページ以降に示す。
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