M2M、IoT通信機器メーカーのMulti-Tech Systems(以下、マルチテック)が、2019年に入りアジア初拠点を東京都内に開設するなど、日本市場への本格参入を進めている。同社CEOのStefan Lindvall氏は、同年5月、東京都内で報道陣向けの会見を行い、同社の事業戦略について説明。「LoRaWANのポートフォリオをスタートとして、マルチテックの幅広い製品やサービスで日本市場のニーズを満たせるような機会を模索していく」と語った。
M2M(Machine to Machine)、IoT(モノのインターネット)通信機器メーカーのMulti-Tech Systems(以下、マルチテック)が、2019年に入りアジア初となる拠点を東京都内に開設、LPWA(Low Power Wide Area)製品を中心に、日本市場への本格参入を進めている。同社CEOのStefan Lindvall氏は、同年5月、東京都内で報道陣向けの会見を行い、同社の事業戦略について説明、「LoRaWANのポートフォリオをスタートとして、マルチテックの幅広い製品やサービスで日本市場のニーズを満たせるような機会を模索していく」と語った。
マルチテックは1970年に産業用アナログモデムメーカーとして、米ミネソタ州ミネアポリスで創業した。産業用M2MやIoT通信に特化し、主に農業、エネルギー、ヘルスケア、企業の4つの垂直市場で事業を展開している。通信機器の設計、開発、製造、サポートを一貫して行っており、これまで世界で2500万個以上のデバイスを提供してきたという。Lindvall氏は、今後の世界市場におけるIoTデバイスやLPWA通信の展望に触れ、「必ず強く伸びていくと確信している。われわれは包括的なポートフォリオを持っているので、さまざまな要望やユースケースに応じた提案ができる」と説明している。
同社では、LPWAやセルラーなど幅広い製品を展開している。現在、同社の主力はセルラー製品ではあるが、過去3年間、特にLoRaWAN機器の拡充に注力してきたといい、Lindvall氏は、「マルチテックの中で一番早く成長しているのがLoRaWAN機器だ」と説明。同社では、LoRaWANのゲートウェイにフォーカスした事業展開をしており、そのシェアは、「中国を除いた世界市場において20%(中国を含むと約25%になるという)を占めており、業界でトップ3に入る」と強調した。
なぜ、LoRaWANに注力するのか。Lindvall氏は、無線局免許が不要なアンライセンス系のLPWAは企業にとって導入が容易であり「ビジネスモデルの観点から、機会が多い」という点や、低消費電力で、長距離伝送できるという技術的な特長、そして、外部の通信網を利用することなく、事業所内で専用のネットワークを構築ができるというセキュリティ面の特性を挙げた。
「自社でコントロールができ、新たな形のビジネスができるLoRaWANは、日本だけでなく米国、欧州など多くの企業が高い関心を寄せている」(Lindvall氏)
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