半導体メーカー各社は現在、米トランプ政権によるHuaweiへの輸出禁止措置など、米中間の貿易戦争による影響を実感し、その明確な証拠を示すようになった。
半導体メーカー各社は現在、米トランプ政権によるHuaweiへの輸出禁止措置など、米中間の貿易戦争による影響を実感し、その明確な証拠を示すようになった。
米Qualcommは、今回の米中貿易摩擦において最も翻弄されている企業の一つだろう。同社は2019年7月31日に、2019年会計年度第4四半期(7〜9月期)の業績予測を発表したが、その内容はウォールストリートを落胆させるものだった。また同社は、この先の2四半期の間、中国関連の逆風に対する注意が必要だと呼びかけている。
QualcommのCEOであるSteve Mollenkopf氏は、アナリストたちとのカンファレンスコールの中で、「Huaweiへの輸出禁止措置は、ここ数カ月の間に4Gから5Gへの移行がかなり加速していることもあり、特に中国において、業界全体に影響を及ぼすようになってきた。このため当社は、この先2四半期ほどの間に、大きな逆風による影響を受けることになるだろう」と述べている。
Qualcommは今回、2019年のスマートフォン出荷台数予測を、前回の予測から1億台削減して、17億〜18億台に下方修正している。また、2019年9月を末日とする今四半期(第4四半期)の売上高予測については、43億〜51億米ドルになる見込みだとした。アナリストたちの以前の予測では、約56億3000万米ドルとの見解で一致していたことから、それを大きく下回る結果となった。
Qualcommは、「当社の今四半期の売上高全体に関しては、前年同期比で12〜26%減と予測している。また、モデムチップセットの出荷数量は、前期比で約4%減、前年同期比では31〜40%減となる見込みだ」と述べている。
さらに、「中国における需要低迷に加え、Huaweiが中国国内で市場シェアを拡大するための取り組みを継続していることなどを受け、当社は苦境に陥ることになるだろう。Huaweiは、2019年5月に米国の輸出規制対象としてブラックリストに掲載されて以来、中国国内でのシェア拡大を重要視するようになった」と続けた。
英国の調査会社Canalysによると、Huaweiは、中国全体のスマートフォン出荷台数が9四半期連続で減少しているにもかかわらず、2019年第2四半期の中国国内の出荷台数を31%伸ばしているという。Huaweiの2019年第2四半期における中国国内の市場シェアは38%で、これは中国において過去8年間で、他のメーカー各社の中でも最も高い数値だという。
Mollenkopf氏は、「Huaweiは、輸出禁止措置を受け、中国国内市場でのシェア拡大に注力する方向に転換した。当社にとって中国市場は、製品やライセンスの売上高に見合ったメリットを見いだすことができない市場だといえる」と述べている。同氏は、「中国の需要が低迷した他の要因として、中国の顧客企業が、2020年初めに予測される5G製品の大量投入に備えて、既存の4G製品の在庫処理を進めていたという点も挙げられる」と続けた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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