ソニーの色域拡大技術は、独自のパネル光学設計と信号処理技術によって、4Kで求められる規格ITU-R BT.2020に対応した広い色域表現を可能にしたもの。フルHD放送の規格(BT.709)と比較し140%の色域を実現しているという。また、医療分野において特に重要となる「赤色」の再現性を高くするとともに、通常だと識別しにくいような画像のコントラストを際立てる独自技術A.I.M.E(Advanced Image Multiple Enhancer)によって、内視鏡や手術顕微鏡からの映像の色再現や輪郭を強調、微細組織や血管などを識別しやすくしているという。会場のデモでは、この技術や反射抑制技術を搭載した31型4K液晶モニター「LMD-X310MD」で実際の内視鏡の映像を映しており、体内の血の色などの違いが確認できた。
さらに、暗部の映像表現においても高いコントラストで再現する有機ELモニターも紹介。これは一般的な液晶モニターのコントラスト比が1000対1なのに対し、この有機ELモニターでは設定によっては最大100万対1の高コントラストを実現するという。また、低輝度領域でも信号レベルにあった色の再現が可能になっている。こうした特性から、超音波検査装置メーカーの上位モデルに利用されているという。
展示されていたようなカメラなどの機器から得られる手術室内外の映像を一元化して、多用途に活用できるIPベースプラットフォーム「NUCLeUS(ニュークリアス)」も紹介していた。同社が放送業務用分野で培った独自の高効率映像伝送技術LLVC(Low Latency Video Codec)を応用することで、低遅延かつ高画質な映像伝送を実現。これによって手術室外の指導医から、手術中の映像へリアルタイムにアノテーションや音声によるアドバイスを得ることができるという。会場では、タッチパネル操作で手術中の画像に直接指示を書き込むデモを見ることができた。
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