東京エレクトロン デバイス(以下、TED)は2019年12月19日、Cerebras Systems(セレブラスシステムズ/以下、Cerebras)と販売代理店契約を締結し、Cerebrasの超高速ディープラーニングシステムの受注を開始したと発表した。TEDでは今後3年間で、同システムの販売を中心にAI(人工知能)/ディープラーニング関連事業で売上高100億円程度を見込む。
東京エレクトロン デバイス(以下、TED)は2019年12月19日、Cerebras Systems(セレブラスシステムズ/以下、Cerebras)と販売代理店契約を締結し、Cerebrasの超高速ディープラーニングシステムの受注を開始したと発表した。TEDでは今後3年間で、同システムの販売を中心にAI(人工知能)/ディープラーニング関連事業で売上高100億円程度を見込む。
Cerebrasは、米国カリフォルニア州ロスアルトスに本社を置く2016年設立の新興企業。AI/ディープラーニングの処理専用のコンピュータシステムの開発を実施。その第1弾システムとして、ディープラーニングシステム「CS-1」を開発、製品化し、一部顧客向けに出荷を開始している。
CS-1は、ディープラーニング専用に設計した21.5cm角サイズの超大型半導体チップ「ウエハースケールエンジン」(以下、WSE)を搭載。WSEには積和演算を実行するための40万個のコアとオンチップメモリとして容量18Gバイトに及ぶSRAMを備える。搭載トランジスタ数は1兆2000億個に上る。CerebrasでProduct Management Directorを務めるAndy Hock氏は「WSEは、地球上で最大サイズのチップ。40万個のコア、1つ1つがニューラルネットワーク処理に最適なスパース型のコアであり、最もパワフルでもある。現時点で最高峰の性能を誇るGPUと比較しても78倍の演算コア、1万倍のメモリバンド幅、3万3000倍のファブリック帯域を持つ」とする。
この超巨大なディープラーニングプロセッサチップを1枚搭載したCS-1は「従来のGPUベースのシステムで数カ月要したディープラーニングの学習処理が、数分間で行える」(同氏)と述べる。CS-1のサイズは標準19インチラック15U相当で、最大消費電力は20kWとする。Cerebrasでは、TensorFlowやPyTorchなどの標準的なワークフレームに対応するコンパイラなどを用意。同コンパイラは、ニューラルネットワークの各レイヤーに適切な数のコアを割り当て、自動配置する機能などを備えるという。
TEDは、Cerebrasと2017年から交渉を進め、このほど販売代理店契約を締結。12月11日からCS-1の受注を開始した。同時に、CS-1の販売/導入サポートを目的に2020年初めにも、CS-1を設置した拠点「TED AI Lab」を東京都内に開設する予定。CS-1のデモや、有償のPoC(概念検証)サービスを提供する予定。CS-1の販売価格についてTED執行役員でCN BU 副BUGMを務める上善良直氏は「CS-1の単体価格については個別見積もりのため、非公表。(CS-1以外のサービスなどを含めた)受注額は1件あたり数億円程度になる見込み」とする。
上善氏「既に先行して一部顧客に対し(CS-1の)提案活動を行っているが“製品化されたら、すぐにほしい”という声もいただいている」と、国内顧客に対する早期の出荷販売を示唆。早ければ、2020年4月以降に国内顧客向けの納入を開始する予定だ。
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