EETJ 2020年度(2021年3月期)の目標を教えてください。
登坂氏 3カ年の中期経営計画の最終年度であり、同計画の目標である売上高3000億円、営業利益15%を達成することが最大の目標になる。
EETJ 2019年度(2020年3月期)の通期売上高見込み2900億円であり、2021年度の売上高3000億円達成はほぼ確実ですね。
登坂氏 2021年度の売上高目標はあらためて設定するものの、売上高3000億円に対しては、あと100億円というところまできた。ただ、営業利益率15%など収益面の目標については、頑張る必要があり、やるべきことが多くある。
EETJ やるべきこととは?
登坂氏 さまざまな部分で「見える化」を進めていくことだ。見えないことには、次の手が打てない。見えさえすれば、問題に対して対処、適応ができる。
EETJ 2017年3月期からは、IoTとビッグデータを駆使し、ムダ、ムラ、ムリをなくし、モノづくりを大きく進化させることを目的にした「smart.Eプロジェクト」に取り組み、工場での「見える化」を推進されてきました。まだまだ、「見える化」ができていない部分があるのですか。
登坂氏 機械については見える化が実現できた。また、これまでの取り組みにより、工場でのメンテナンス/オペレーションする担当者間での技量差の見える化も実現できた。技量差を見える化したことで、担当者それぞれの弱い部分や、教え方がまずい部分に対し、細かく対処できるようになり、歩留りや品質の向上につながってきた。これまでこうした見える化の取り組みは、日本国内拠点だけでの運用だったけれど、海外の拠点に展開することで、飛躍的に効率は高まるだろう。
まだ見える化できていないところは「人の心」だ。人の暗黙知を形式知にしたい。
例えば、需要予測。営業担当者に需要予測を聞くと、担当者ごとにバラバラの予測が返ってくる。これを統一するには、正確な予測を導き出せる担当者の暗黙知を形式知に変え、最終的に予測を統一することが必要だ。
すでに、営業担当者が取得する情報を共有し、他のデータで裏付け、補足して精度を高めていったり、なぜ予測が的中したか、外れたかを分析したり、といったことを始めている。これまでは、各営業担当者が顧客の需要見通しをうのみにして予測を導き出し、その予測が外れても「顧客の予想が間違っていた」ということで済ませていた部分を改善しているわけだ。
そうした取り組みの結果、営業部門では最近「これまでは野獣。これからは人になる」が1つの合い言葉になるなど、以前よりも情報共有やすり合わせが、うまくできるようになり、まだまだなところはあるが、随分と「見える化」できるようになってきた。
自分たちの中にムダがまだあり、そのムダさえなくせば、市場の変化、外部要因とは関係なく、収益を高めることができる。内部要因で収益の安定性アップが実現できるわけだ。もう一段レベルを上げて、見える化、デジタルトランスフォーメーションを実現できれば、より一層、ムダのない状態になり、市場変化に大きなダメージを受けることない企業になれると思っている。
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