ソニーは2020年3月27日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響によって、同年2月に公表した業績見通しの上方修正分が打ち消しになる見込みであると発表した。
ソニーは2020年3月27日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響によって、同年2月に公表した業績見通しの上方修正分が打ち消しになる見込みであると発表した。
同社は同年2月、2019年度連結業績見通しを売上高8兆5000億円(前回発表時から1000億円増)、営業利益8800億円(同400億円増)、純利益5900億円(同500億円増)に上方修正すると公表したうえで、「当該見通しには新型コロナウイルス感染拡大による影響は含んでおらず、今後の事態の進展によっては、当該上方修正を打ち消す規模の大きな影響が出る可能性も否定できないと考えている」と説明をしていた。
同社は新型コロナウイルス感染拡大による2019年度連結業績への影響は引き続き精査中としているが、「現時点ではこのような規模の影響が発生することが見込まれる」と説明。さらに、「新型コロナウイルス感染拡大による当社連結業績への影響は2020年度にも継続する見込みだ」とも述べている。
同社は各国政府などの指導に基づき、欧米を中心に一部地域のオフィスを閉鎖し、在宅勤務を実施している。また、日本を含むオフィスを稼働している国、地域においても多くの拠点では、原則として在宅勤務とするなどの対応をしているという。
工場の稼働状況については、中国の4つの自社工場(上海市に2カ所、江蘇省無錫市および広東省恵州市にそれぞれ1カ所)が2020年1月24日に春節休暇に入って以降、2月9日までは政府の指導に基づく休暇の延長により、全ての工場の稼働を停止していたが、2月10日以降、順次稼働を再開しているという。同社は「部品の供給問題は完全には解消していないものの、稼働は感染拡大前の水準に戻りつつある」と説明している。
一方で、マレーシアにある2つの自社工場(クアラルンプールおよびペナン)が現地政府の方針により3月18日から4月14日(予定)まで稼働を停止している。さらに、英国(ウェールズ)にある自社工場も、現地政府の方針により3月26日から4月20日(予定)まで稼働を停止しているという。
同社は、「国境を越えた人の移動の制限により、新製品の立ち上げや生産指導のために生産拠点である中国および、東南アジア諸国へエンジニアを派遣することが困難になるなどの影響が出ている」と述べている。
分野別にみると、CMOSイメージセンサーを中心とするイメージング&センシング・ソリューション分野への影響については、「原材料の調達を含めて、生産への影響は軽微だ」という。ただし、同分野の主要顧客であるスマートフォンメーカー各社の中国におけるサプライチェーンの復旧に伴い、販売は正常に戻りつつあるものの、「今後はスマホ市況の減速により、販売に影響が出る懸念がある」とも説明している。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野については、上記のマレーシアの工場の稼働が停止していることに加え、アジア地域の部品サプライヤーからの供給が不安定な状況となっていることから幅広い製品の生産に影響が出ているほか、世界的な外出制限や小売店の閉鎖などにより、製品販売にも影響が出ているという。
同社は、2020年4月30日に2019年度連結業績発表を予定しているが、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により決算手続等に遅延が生じ、予定通りに発表できない可能性がある」としている。
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