ここからは「カメラ」について説明していこう。カメラには大別すると「ビューカメラ」と「センシングカメラ」がある。ビューカメラは車両の周囲を撮影して運転者に画像を見やすく表示する。駐車支援や白線検知などで使われる。
「センシングカメラ」は、撮影画像から対象物を認識して運転者に警告を発したり、車両を適切に制御したりする。認識対象には車両、白線、交通標識、歩行者、障害物などがある。センシングカメラには単眼カメラとステレオカメラ(2個のカメラを組み合わせたユニット)があり、いずれも対象物との距離を測定する。
センシングカメラでは、撮影画像の認識機能が極めて重要である。雨天や夜間などの異なる環境で、さらにはトンネルの出入り口といった急激に明暗が変化する状況で、リアルタイムで対象物を認識しなければならない。このため機械学習が不可欠の要素技術となっている。
続いて「ミリ波レーダー」と「準ミリ波レーダー」を解説しよう。まず「ミリ波レーダー」は76GHz帯あるいは79GHz帯の電磁波を使う。
76GHz帯のミリ波レーダーは、遠距離に位置する物体(主に前方車両)を検知するために使われる。取り付け場所は車両のフロントグリルが多い。具体的な用途は「定速走行・車間距離制御(ACC)」だ。レーザーの帯域幅は1GHzであり、分解能はあまり高くない。79GHz帯のミリ波レーダーは、近距離(車両周辺)の物体を検知するために使われる。帯域幅は4GHzと広く、76GHz帯のレーダーに比べると分解能が高い。
さらに次世代のミリ波レーダーとして、140GHz帯と高い周波数帯の電磁波を使うレーダーが開発されつつある。帯域幅は136GHz〜148.5GHzの12.5GHz幅とかなり広い。このため、79GHz帯のレーダーよりも分解能がさらに高くなる。
次は「準ミリ波レーダー」を簡単に説明する。準ミリ波レーダーは24GHz帯の電磁波を使う。車両周辺の物体検知に使われる。取り付け場所はバンパーの角部である。運転者にとって死角となる斜め前方と斜め後方の物体(主に歩行者と接近車両)を検知する。
ミリ波レーダーと準ミリ波レーダーの距離測定には、連続波を使う「周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulation Continuous Wave)」方式が主に利用される。また最近ではパルス波を使う「パルスエコー(ToF:Time of Flight)」方式の開発が進んでいる。
(次回に続く)
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