データセンター市場は既に堅調だったが、COVID-19により世界的に在宅勤務が進んだことで、2020年第1四半期に入ってより堅調になった。同四半期のデータセンターグループ売上高は70億米ドルで、前年同期比43%増となった。
データセンター向け製品に関しては、Intelは第10世代の「Intel Coreプロセッサ(開発コード名:Ice Lake)のサンプル出荷を開始していて、2020年第4四半期に量産する計画だとしている。EnerTuitionは、「これは当初の計画より遅れていて大きなポジティブ要因ではないが、同社の10nmプロセスの進展を示している」と述べている。
最も重要な新製品は、2020年中盤にローンチされる予定の、10nmプロセスを採用したクライアント向けCPU「Tiger Lake(開発コード名)」だろう。EnerTuitionは、Tiger LakeがAMDの「Ryzen 4」とどのように競合するかは、まだ明らかではないとしつつ、「予定通り、ことし半ばに投入されれば、ノートブック市場におけるAMDの進出を鈍らせる製品となりそうだ」との見解を述べている。
Intelの経営陣は、同社の10nmプロセス適用製品が、2020年のうちに、出荷数量で14nmプロセスを超えることはないと認めた。EnerTuitionは「Intelのマージンのガイダンスは、同社が10nmプロセスの立ち上げコストや、AMDとの価格競争によるプレッシャーを感じていることを示唆している」と語る。「これはIntelの投資家にとってよい兆候ではないだろう」(EnerTuition)
さらにEnerTuitionは、「Tiger Lakeの立ち上げは、Intelのこれまでの新製品に比べてはるかに小規模になる可能性が高く、Intelのクライアント製品のほとんどは、しばらくは14nm技術をベースにするだろう」と続けた。Intelは、AMDとの競争から、歩留まりの低い10nmプロセスの立ち上げを余儀なくされているようだ。これが、ASP(平均販売価格)の低下、粗利益率の低下の根本的な原因となっている可能性はある。
Intelは、クリスマスシーズンに向けて約50のラップトップデザインを用意すると述べているが、AMDはRyzen4ファミリーで、135以上のラップトップデザインをそろえると主張している。「ホリデー商戦に向けて、Intelの最新チップのデザイン数がライバルよりも少ないなど、x86ビジネスの歴史上、初めてのことかもしれない」とEnerTuitionは述べている。「これが、Tiger Lakeのローンチが遅れているからなのか、機器メーカーがTiger Lakeにそれほど魅力を感じていないからなのか、それともIntelが10nmプロセスの立ち上げに、いまだに苦心しているからなのかは、不明だ」(EnerTuition)
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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