さらに、MXRシリーズには、機械学習を用いて異常信号を検出する「フォルトハンター(異常検知)」機能が標準搭載されている。オシロが信号をプロファイリングして、解析を行いながら自己学習し、その学習結果を基に、閾値から逸脱した信号があればそれを自動的に検出するというもの。
MXRシリーズは、アナログチャンネルを切り替えることで、リアルタイムスペアナとしても使うことができる。ただし、その際は、4チャンネル/8チャンネルともに全てを切り替える必要があり、一部のチャンネルのみをリアルタイムスペアナに切り替えて使うことはできない。坂田氏は、「MXRシリーズに統合したリアルタイムスペアナは、一般的な掃引型のスペアナや、オシロのFFT機能のような従来の周波数解析機能とは全く異なるものだ。リアルタイムの名の通り、一度しか起きないような周波数ドメインにおける現象であっても、取りこぼすことなく捉えることができる」と説明する。
キーサイトが提供するソフトウェア「Pathwave Infiniium Offline Analysis」を使えば、自宅などでのオフライン解析も可能だ。InfiniiumシリーズのファームウェアをPC(OSはWindows)にインストールし、オシロの波形ファイルをインポートすることで、オシロを使っている時と同様の使い勝手と機能で波形を解析できるようになる。「波形のスクリーンショットではなく、オシロの波形データ(時間対電圧のデータ)を保存することで、レポート作成の際に、スケールの変更や表示項目の変更を、ソフトウェア上、つまり自宅のPCで何度でもやり直すことができる」(坂田氏)
キーサイトは、新型コロナウイルス(COVID-19)対策への支援の一環として、さまざまな解析ツールやシミュレーターのライセンスを一定期間無償で提供する取り組みを行っている。Pathwave Infiniium Offline Analysisや、それに付随する解析ソフトウェアについても、90日間の無償ライセンス提供を行っている。
MXRシリーズは、500M〜6GHz帯域の範囲で計12機種(4チャンネルモデルを6機種、8チャンネルモデルを6機種)そろえている。価格帯は、4チャンネル品が約300万円〜840万円、8チャンネル品が450万〜1650万円。順次、出荷を開始している。
キーサイトの社長であるチエ・ジュン氏は、「ミドルレンジのオシロは、汎用的に使えるが故に顧客からの要件が最も多いマーケット。MXRシリーズには、そうした顧客からの要望を入れ込んだ」と語った。
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