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5G 人からモノへ 〜「未踏の時代」迎えた無線技術 特集

GSMAとO-RAN Allianceが協業、5G普及に向け北欧2社の対応に注目(2/2 ページ)

» 2020年06月08日 11時30分 公開
[John WalkoEE Times]
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政治的争いに巻き込まれる恐れも

 もちろん、Open RAN Policy Coalitionが、Huaweiに対抗する通信インフラ戦線としての「非中国連合」と見なされていることも無関係ではないだろう。

 実際、中国の通信関連企業は、オープン化の議論に参加することにほとんど興味を示さず、今のところ実証されていないRANの代替技術ではなく、3GPPの仕様に基づいた技術で進めようとしている。

 重要なのは、確かにHuaweiは巨大な企業だが、グローバルなインフラビジネスにおける中国の企業はHuaweiだけではないということである。例えばZTEは、オープンLANインタフェースの仕様開発に全面的に参加していて、O-RAN Allianceのメンバーだ。

 O-RAN Allianceには、GreenTech、Inspur、Sunwave、Tongyuなど、あまり知られていないが革新的な中国企業が多数参加している。China MobileやChina Telecomなどの大手携帯電話会社も、もちろん含まれている。

 このように、オープン化の議論は、単なる“反中国的”なものだと捉えるのは間違っている。

 実際には、皮肉なことに、オープンRANのコンセプトは、HuaweiよりもNokiaとEricssonに、よりネガティブな影響を与えるかもしれない。この2社はHuaweiに比べて、通信インフラ事業への依存度がはるかに高いからだ。

 オープンRANの議論が、政治的な争いを背景とした“反Huawei”の議論にすり替えられる危険性があるのは明らかである。

 もう一つ追記すべきは、オープンRANが、今後の発展を期待できるトレンドであることは間違いないものの、オープンRANをベースにネットワークを展開しているのは現時点では楽天と米国のDish(こちらは計画段階)だけという点である。ただ、VodafoneやTelefonicaといった世界的なオペレーターは、世界中のさまざまな市場でこのコンセプトを試している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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