Infineon Technologies(以下、Infineon)は2020年6月25日(ドイツ時間)、電気自動車(EV)/ハイブリッド自動車のバッテリーマネジメントシステム(BMS)向けに新しい電源管理IC「TLE9012AQU」を発表した。最大12個の電池セルをサポートし、±5.8mVの電圧検出誤差を実現していることが特長だ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2020年6月25日(ドイツ時間)、電気自動車(EV)/ハイブリッド自動車のバッテリーマネジメントシステム(BMS)向けに新しい電源管理IC「TLE9012AQU」を発表した。最大12個の電池セルをサポートし、±5.8mVの電圧検出誤差を実現していることが特長だ。
12個の16ビットΔΣ型A-Dコンバーターを搭載していることから、全てのバッテリーセル電圧を同時に測定できる他、ノイズフィルターを内蔵しているので、ノイズによる測定結果への干渉を抑えることができる。バッテリーセル温度測定機能としては、内蔵の温度センサーで測定/モニタリングを行う他、外付けのNTCサーミスターを最大5個接続することも可能だ。セルバランシング機能向けに内蔵したスイッチは、最大150mAの電流を扱える。なお、セルバランシング機能は最大32時間のタイマーを使って停止できるので、マイコンによる制御信号の入力は不要だ。
さらに、TLE9012AQUは最大20個まで接続できるため、大型のバッテリーパックにも対応できる。接続する際のインタフェースはiso UARTで、通信速度は最大2Mビット/秒。
TLE9012AQUは、「AEC-Q100」に準拠し、「ISO 26262 ASIL-C」対応が可能だ。2020年7月に量産出荷を開始する。
Infineonは同年6月25日に記者説明会をオンラインで開催し、車載事業本部 アプリケーションマネジメントディレクターを務めるClemens Müller氏が、TLE9012AQUと、EV/ハイブリッド自動車市場について説明した。
Infineonは、2020年4月にCypress Semiconductor(以下、Cypress)の買収を完了し、年間売上高100億ユーロの企業となった。「半導体売上高トップ10に入るメーカーとなり、車載半導体分野では首位となった」とMüller氏は語る。
同氏は自動車市場について、「世界各国でCO2排出規制が強化されている。EUでは、2030年までに2019年比で30%を削減し、59g CO2/kmを達成しなくてはいけない。Infineonの調査では、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)とBEV(バッテリー式電動自動車)の開発を進めることが鍵になることが分かっている。さらに、IHS Markitは、2030年には新車のうち30%がEVになるとの予測を発表した」と説明し、TLE9012AQUのような電源管理用ICが、今後の自動車市場においてさらに重要になることを示唆した。
Müller氏は、Infineonが提供する、EV/ハイブリッド車向けを含むバッテリーマネジメントソリューションとして、「AURIX」ファミリーやCypressの「Traveo II」などのマイコン、モーターコントローラー、トランシーバーIC、セキュリティチップ「OPTIGA」などを挙げた。車載分野におけるCypress製品との統合については、「近いうちに、より分かりやすい形での製品ラインアップを提示できるだろう」とした。
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