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EC調光ガラス、つくば市の施設で実証実験を開始窓の透明度をスイッチで切り替え

物質・材料研究機構(NIMS)は、消費電力が小さく発色性に優れたエレクトロクロミック(EC)調光ガラスの実証実験を始めた。茨城県つくば市の支援を受けて、「つくばスタートアップパーク」の窓に調光ガラスを設置し、耐久性や操作性を検証する。

» 2020年09月15日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

10×10cmの調光ガラスを1000枚以上設置

 物質・材料研究機構(NIMS)は2020年9月、消費電力が小さく発色性に優れたエレクトロクロミック(EC)調光ガラスの実証実験を始めた。茨城県つくば市の支援を受けて、「つくばスタートアップパーク」の窓に調光ガラスを設置し、耐久性や操作性を検証する。

 EC調光ガラスは、遮光と透明な状態をスイッチで自由に切り替えることができる。このため、ブラインドやカーテンを必要としない次世代の窓用途で注目されている。既に航空機の窓や自動車の防眩ミラーなどで実用化されているが、オフィス用途などへの需要拡大を図るには、発色性などが課題となっていた。

 NIMSは、新しいEC材料として「メタロ超分子ポリマー」を開発。安定供給を可能にする合成プロセス技術も、既に東京化成工業(TCI)と共同で確立した。メタロ超分子ポリマーは、既存の材料に比べて電力消費が小さく、発色性にも優れているという。含まれる金属の種類を変えることで青や緑、紫、黒など、さまざまな色を表示させることが可能である。

メタロ超分子ポリマーで作製した紫色と青色のECデバイス 出典:NIMS
作製したECデバイスが色変化する様子 出典:NIMS

 NIMSは今回、青色と紫色のEC調光ガラスを1000枚以上用意した。外形寸法は10×10cmである。これを木枠に入れて、つくばスタートアップパークにある窓の内側に設置した。実証実験期間は2020年9月から2021年3月までの予定。施設利用者にも操作してもらい、耐久性や切り替え時の操作性などを実際の現場で検証する。これらの結果を参考にして、操作性の改良などを行っていく。

つくばスタートアップパークにおける調光ガラスの設置場所と取り付けた窓 出典:NIMS

 実験のために取り付けたEC調光ガラスは、既設窓の内側に後付けで設置している。このため、実験後にEC調光ガラスを取り外し、原状復帰するための作業も容易だという。

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