富士電機、低損失の新型IGBTモジュールを発売:第7世代「Xシリーズ」素子を搭載
富士電機は、IGBTモジュール「XシリーズIGBT-IPM」を発売した。第7世代と位置付けるIGBT素子「Xシリーズ」を搭載することで損失を低減した。NC工作機械や産業用ロボットなどの用途に向ける。
富士電機は2020年12月、IGBTモジュール「XシリーズIGBT-IPM」を発売した。第7世代と位置付けるIGBT素子「Xシリーズ」を搭載することで損失を低減した。NC工作機械や産業用ロボットなどの用途に向ける。
XシリーズIGBT-IPMの外観
新製品に搭載したIGBT素子は、厚みを抑え表面構造を微細化した。しかも、高温条件下でスイッチング速度が低下しないように駆動用ICを制御し、電力損失を低減した。これにより、従来のVシリーズを搭載したIGBTモジュールに比べ、インバーター動作時の電力損失を約10%削減した。発熱も抑えられるため、実装面積を従来に比べ最大54%も小型化できるという。
IGBT素子の過熱保護機能も搭載している。素子の温度が175℃を上回ると、IGBT-IPMが設備側の制御装置にアラーム信号を出し、スイッチング動作を停止させる。これによって、IGBT-IPMが故障するのを防ぐ。
さらに、温度ワーニング出力機能も搭載した。素子温度が150℃を上回るとワーニング信号を出力する。175℃に達するまではスイッチング動作を行うことが可能で、その間に生産設備を停止させてメンテナンスなどを行えば、製造ラインを安全に稼働させることができる。
今回発表した新製品の定格電圧は650V品と1200V品の2タイプ。定格電流は650V品で20/30Aから最大200〜450A品を、1200V品で10Aから最大100〜300A品を、それぞれ用意した。一例だが同モジュールの外形寸法は、650Vで20/30A品と1200Vで10A品の場合は36×70×12mm、650Vで200〜450A品と1200Vで100〜300A品の場合は110×142×27mmのパッケージで供給する。
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