米ファウンドリーのGLOBALFOUNDRIES(GF)は、米国の輸出管理下において機密性の高い軍用/航空宇宙アプリケーション向けチップを製造するための認定を確保したのを経て、現在は同社が米国に置く最も高度な製造施設に対する“信頼性認定評価”を求めている。
米ファウンドリーのGLOBALFOUNDRIES(GF)は、米国の輸出管理下において機密性の高い軍用/航空宇宙アプリケーション向けチップを製造するための認定を確保したのを経て、現在は同社が米国に置く最も高度な製造施設に対する“信頼性認定評価”を求めている。
GLOBALFOUNDRIESは既に2つの「trusted facility(信頼された施設)」を所有している(いずれも以前はIBMの製造施設)。2021年2月15日、GLOBALFOUNDRIESは、米国ニューヨーク州マルタの工場「Fab 8」を含め、国防総省(DoD:Department of Defense)との製造パートナーシップを強化していることを明らかにした。この製造に関する取り決めに基づき、同社が米国の規制である「International Traffic in Arms(ITAR)」ならびに「Export Administration Regulations(EAR)」に準拠していることが認定された。
DoDは最近、システムやサプライチェーンの安全性を高めるために策定された戦略「Zero Trust」を発表した。DoDに半導体を供給するサプライヤーもこの戦略に含まれている。GLOBALFOUNDRIESは2021年2月15日の週に、Fab 8をtrusted facilityとして認めてもらうため、DoD当局者との協議に入っていることを明らかにした。
同社の広報担当者は、同週に「決定はまだ下っていない」とし、信頼できる状態であることを認めてもらうには、Defense Microelectronics Activity(DoDの「信頼されたICプログラム(trusted IC program)」の監視を行う機関)による信頼性認定評価が必要になると述べた。
GLOBALFOUNDRIESがニューヨーク州イーストフィッシュキルに置く「Fab 10」と、バーモント州バーリントンに置く「Fab 9」はそれぞれ製造施設として信頼できる状態にあるとDoDに認められている。Fab 9は、2005年に米国で初めてそうした認定を受けた施設でもある。
前出のGLOBALFOUNDRIESの広報担当者は「Fab 8をtrusted facilityとして認定してもらうために必要な改善は、それほど広範囲に及ぶものではなく、DoDの指導に基づいて進めている」と付け加えた。
GLOBALFOUNDRIESはITARの認定を受けたことで、同社の差別化技術である45nmのSOI(Sillicon On Insulator)プロセス技術を用いて、Fab 8で軍事/航空アプリケーション向けのチップを製造できる。GLOBALFOUNDRIESは、DoDのZero Trust戦略を支援すべく、安全面での保証を定量化できるようなアプローチをDoDと共同で開発していることも明らかにした。
DoDは「今回のGLOBALFOUNDRIESとの取り決めは、米国が国家ならびに経済安全のために必要なマイクロエレクトロニクスの製造能力を確実に維持するためにDoDが取る措置の一つにすぎない。この取り決めは、先日可決された法案『CHIPS for America Act』で熟慮された主要な取り組みの先駆けといえる。CHIPS for America Actは、Charles Schumer上院議員が提唱した、米国のマイクロエレクトロニクス能力の維持とオンショア化を実現するための法案である」と述べた。
DoDの安全な主要ファウンドリーとしてのGLOBALFOUNDRIESの役割は拡大しつつある。同社によれば、45nmプロセスを適用したITAR準拠のデバイスは、2023年に量産を開始する見込みだという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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