日本電波工業(NDK)は、MRI検査に対応できるペースメーカー用音叉型水晶振動子「NX1210VA」を開発、サンプル出荷を始めた。強磁性体を削減し、外形寸法も1.2×1.0×0.45mmと極めて小さい。
日本電波工業(NDK)は2021年3月、MRI検査に対応できるペースメーカー用音叉型水晶振動子「NX1210VA」を開発、サンプル出荷を始めた。強磁性体を削減し、外形寸法も1.2×1.0×0.45mmと極めて小さい。
心臓の動きを助ける埋め込み型ペースメーカーは、発振器とこれに接続する細い電線で構成されている。これに用いられる一般的な音叉型水晶振動子は、金属カバーなど磁性体を多く含んでいる。このため磁場の影響を受けて強磁性体が動作異常を生じる恐れがあり、ペースメーカーを埋め込んだ患者は、これまでMRI検査を受けることができなかったという。
このため同社は、磁性体の含有量が少ないセラミック材カバーに変更するなど、新たなパッケージ方法を開発し、磁場の影響を最小限に抑えてきた。同時に、直植え込み式のリードレスタイプが登場する中で、小型化の要求にも応えた。
同社は既に、外形寸法が2.0×1.2mmの「NX2012VA」や、3.2×1.5mmの「NX3215VA」を供給している。NX1210VAは、FEM解析によるシミュレーション技術やフォトリソグラフィー工法による高精細加工技術を活用して開発、高い信頼性と世界最小クラスのサイズを実現した。公称周波数は32.768kHz、動作温度範囲は−40〜85℃である。
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