半導体不足は世界的に続いている。このような半導体供給不足はなぜ起きたのだろうか。今回は、原因の分析に加え、2016〜2018年に“スーパーサイクル”と言われたメモリバブルとの違いや、現在のこの狂乱状態はバブルなのか、そして、この供給不足はいつまで続き、どのような結末を迎えるのかを論じたい。
クルマが作れない、PCが作れない、スマートフォンが作れない、ゲーム機が作れない、各種電気製品が作れない(参照記事/CNET Japan)。
2021年に入って発覚した半導体供給不足の問題は、あらゆる分野に飛び火しており、もはや狂乱状態の様相を呈している。
このような半導体供給不足の問題が、どのようなところに現れるかというと、待ち時間を含めたリードタイムの“超長期化”に見て取れる。
CHENG TING-FANG and LAULY LI等の4月16日の記事「How the chip shortage got so bad -- and why it's so hard to fi」によれば、通常、各種半導体のリードタイムは4〜8週間であるが、最近では、パワーICやMCU(いわゆるマイコン)が24〜52週(つまり最長1年!)、CPUが12〜16週、メモリが14〜15週、Wi-Fi(通信半導体等)が24〜30週になっているという(図1)。
その他、液晶ディスプレイ(LCD)、基板材料、パッケージサービスも軒並み長期化している。特に、ウエハーや後工程のプリント基板などを含む基板材料は、通常12週間のところが、20〜52週(最長1年)待たないと入手できない状態のようだ。
このような世界的な半導体供給不足はなぜ起きたのか、2016〜2018年に“スーパーサイクル”と言われたメモリバブルとの違いは何か、現在のこの狂乱状態はバブルなのか、そして、この供給不足はいつまで続き、どのような結末を迎えるのか。本稿では、これらについて論じたい。
図2に、2015〜2021年第1四半期(Q1)における世界半導体出荷額および出荷個数の推移を示す。2016年Q1以降、半導体市場が大きく成長し、出荷額も出荷個数も増大している。世間では“スーパーサイクル”と呼ばれたが、2018年Q3に過去最高の出荷額1249億米ドル、出荷個数2658億個を記録した後、ピークアウトして半導体不況に突入する。
その不況は2019年Q2に底を打ち、回復に向かうが、2020年初旬に発生したコロナ騒動により、出荷額も出荷個数も再び落ち込む。ところが、同年Q3以降、急速に回復に転じ、2021年Q1には、出荷額こそ1231億米ドルとメモリバブルのピークにはわずかに及ばないものの、出荷個数はそのピークを超えて四半期としては過去最高の2748億個を記録した。
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