NXP Semiconductors(以下、NXP)は2021年6月3日、同社のUWB(Ultra Wide Band) ICプラットフォームである「Trimension」の製品「Trimension SR040」が、Samsung Electronics(以下、Samsung)の紛失防止タグ「Galaxy SmartTag+」に採用されたと発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2021年6月3日、同社のUWB(Ultra Wide Band) ICプラットフォームである「Trimension」の製品「Trimension SR040」が、Samsung Electronics(以下、Samsung)の紛失防止タグ「Galaxy SmartTag+」に採用されたと発表した。Trimension SR040だけでなく、NXPのBLE(Bluetooth Low Energy)マイコン「QN9090」も搭載されている。BLEに加えてUWB ICを搭載することで、センチメートルレベルの測距が可能になるので、より高い精度で紛失物を探せるようになる。
紛失防止タグとスマートフォンの両方にBLEチップとUWBチップが搭載されている場合、まずはBLEでペアリングを行う。実際に物を探す際は、まずはBLEによって、登録した紛失防止タグかを判断(=ペアリングが行われている正しいタグかを判断)し、その後はBLEによって数メートル単位で大まかに位置を検知。さらに、UWBでより正確な位置を測距して絞り込んでいく。NXPの日本法人であるNXPジャパンのモバイル、インダストリアル&IoTマーケティング本部 ビジネス・ディベロップメント マネジャーを務める篠崎寿幸氏は、「BLEによる測距が数メートルといった精度なのに対し、NXPのUWB ICはセンチメートル単位で測距できる上に、角度も検知できることが特長だ」と説明する。
UWBには、±10cmの精度で測距できること以外に、マルチパス環境に強い、10ミリ秒以下で測定できるなどリアルタイム性を備えているといったメリットがある。さらに、暗号化された測距手法を用いることで、ハッキングの防止など高いセキュリティを実現する。UWBの初期のアプリケーションが、リレーアタックによる自動車の盗難を防止することだったのも、セキュリティが高いという特長があるからだ。高精度に測距できるとはいえ、チップを追加する分、コストも消費電力も上がるが、篠崎氏は「セキュリティの観点で、UWBを追加するメリットはある」と述べた。
NXPは、UWBのアプリケーションが、自動車からモバイル、さらにモバイルと連携するIoT(モノのインターネット)機器へと広がり、特にスマートホーム、スマート企業、スマートリテールといった分野でUWB技術が活用されると考えている。それを見据え、NXPは、車載、モバイル、IoTの各アプリケーションに最適化したTrimensionプラットフォームを提供する。IoT向けでは、モジュールパートナーと連携し、UWBを使ったIoT機器を容易に開発できるキットなどを提供していく予定だ。
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