Bakos氏は、「サーキットブレーカーは、過酷な電気環境下にあるため、非常に難しい分野だといえる。Amberのアーキテクチャはサージや誘導負荷スパイクを感知して軽減することが可能だ」と付け加えた。
「Amberは手法の1つとして、最近Cypress Semiconductorの買収によって取得した『PSoC(Programmable System on Chip)』マイコンにインテリジェンス機能を統合するという形をとっている。これには、安定したDC電源や外部磁気、外部コンデンサーなども不可欠となる。問題なのは、ブレ―カーや照明スイッチ、コンセントボックスなどの寸法が非常に小さいために、こうした部品を追加する余地がほとんど残っていないという点だ」(同氏)
AmberのイネーブラーIP(Intellectual Property)は、小さなフットプリントで安定したDC電源を提供し、かさばる磁気やコンデンサーを必要としないため、センサーや無線通信などの他の機能に電源を供給するスペースを確保することができる。イネーブラー、PSoC、FETでモノリシックICを実現することは、理論的には可能であっても、現実的ではないかもしれない。しかし、Bakos氏は、「だからといって、このソリューションを単一のパッケージで実現することを否定するものではない」と付け加えた。
また、Amberと協力しデジタルコントローラーを分割してパッケージ化することで小型化と熱効率の向上を図ることで、”住宅用電源の在り方を変える”ことに貢献していくとしている。
両社の協業は、スマートスイッチや標準的な調光器から電源ソケットに至るまで、特定の製品カテゴリーの電源管理アーキテクチャをアップグレードすることを目的としている。これらのアップグレードには、より小さなフォームファクターでのインテリジェントでダイナミックな電源管理が含まれる。
機械的な部品をソリッドステート技術に置き換えることは、スイッチや電気ボックスの設計において重要な考慮事項であり、コストとスペースを削減する方法の1つと考えられている。
Casey氏は、「スイッチやソケットなどの製品を製造する企業の考え方は、何十年も、いや、1世紀以上も電気機械式だった。われわれは、それにどれだけのコストをかけているのか、どこで無駄なことをしているのかということを知らなければならない。その問題に対する答えが、ソリッドステートであり、インテリジェンスだ」と述べた。
Bakos氏はさらに、「この市場が新たな進化を遂げていることは間違いない。標準的なスイッチやブレーカーよりも機能を向上させることには、大きなチャンスがある」と続けた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.