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ソニーが営業利益見通しを上方修正、デジカメなど好調イメージセンサーも「工場はフル稼働」

ソニーグループは2021年8月4日、2022年3月期(2021年度)第1四半期(2021年4〜6月)決算を発表した。2021年度第1四半期は、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下EP&S」)分野と音楽事業で大幅増収があり、売上高は前年同期比15%増の2兆2568億円、営業利益は同26%増の2801億円の増収増益を達成した。

» 2021年08月04日 20時00分 公開
[永山準EE Times Japan]

 ソニーグループは2021年8月4日、2022年3月期(2021年度)第1四半期(2020年4〜6月)決算を発表した。2021年度第1四半期業績は、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下、EP&S)分野と音楽分野で大幅増収があり、売上高は前年同期比15%増の2兆2568億円、営業利益は同26%増の2801億円の増収増益を達成した。

 また、2021年度通期業績見通しも、営業利益を前回発表(2021年4月)比500億円増の9800億円、純利益も同400億円増の7000億円と上方修正した。売上高については、主にEP&S分野および音楽分野の見通しを上方修正したが、CMOSイメージセンサーを主力とするイメージング&センシング・ソリューション分野(以下、I&SS)分野や映画分野で見通しを下方修正したことから、変更はなかった。

左=2021年度第1四半期業績/右2021年度通期業績見通し 出典:ソニー

 EP&S分野では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響からの需要回復によって、主にテレビやデジタルカメラの販売台数が増加、製品ミックスの改善も影響し第1四半期の売上高は前年同期比59%増の5763億円、営業利益も同806億円増の718億円と大幅な増収増益を達成した。

 同社副社長兼最高財務責任者(CFO)の十時裕樹氏は、「テレビは低価格帯の中・小型商品市場では”巣ごもり需要”に陰りが見え始めているものの、当社の主力製品である高付加価値、大画面商品の市場が引き続き堅調に推移している。パネル需給がタイトな中、価格維持と高付加価値モデルへの販売シフトを進め、平均販売価格は前年同期比38%増と大きく上昇した」と説明。デジカメについても、「(コロナからの)需要の回復と高機能、高性能商品への市場シフトを背景に、高い商品競争力で全ての地域において好調な販売となっている」と語った。

EP&S分野の2021年度第1四半期業績と2021年度通期業績見通し 出典:ソニー

 今四半期の好調を踏まえ、通期見通しについても、売上高を前回発表から600億円増の2兆3200億円、営業利益も220億円増の1700億円にそれぞれ上方修正した。この上方修正については、東南アジア圏でのコロナ感染再拡大によって2021年5月末からマレーシア工場で部分的に稼働を落としたことなど、「顕在化している供給面のリスクと、下半期以降の巣ごもり需要の落ち着きなどの需要面でのリスクを織り込んでいる」という。

イメージセンサーの売上高見通しは下方修正

 I&SS分野の第1四半期売上高は、売上高が前年同期比6%増の2181億円、営業利益が同43億円増の305億円で増収増益となった。

 中国スマートフォン市場の停滞や在庫水準の調整などによって、中国メーカー向け出荷が2021年5月以降鈍化したが、十時氏は、「このような需要状況はある程度計画に織り込んでいたこともあり、当四半期の売上、利益はおおむね想定通りだった」と説明。米国の輸出規制に伴うHuawei向け出荷減の影響はあるが、「『中国特定顧客』向け出荷の減少を、中国以外の大手顧客向け出荷の順調な伸びと、デジカメ向けの需要回復に伴う出荷増が補った」としている。

 また顧客基盤の拡大についても、中国メーカー各社での採用が着実に進んでおり、「当年度における数量ベースの市場シェア回復には成果が見えてきた」と言及。「2022年前半の各社フラグシップモデルへの高付加価値イメージセンサーのデザインインも順調な滑り出しとなっている」との見方を示した。

 一方で懸念点として、「ハイエンド市場に2019年、2020年のような『前述の中国メーカー』による強いヒット商品がなく、勢いがかけていることは懸念材料だ。2021年度以降のモバイルセンサー事業の利益回復のスピードに影響を与えうることから、足元の中国スマホ市場全体の回復と合わせて状況を注視している」と挙げる。2021年通期見通しは、売上高を前回発表から300億円減の1兆1000億円に下方修正している。なお、営業利益については為替の好影響などを理由に前回から変更はなかった。

I&SS分野の2021年度第1四半期業績と2021年度通期業績見通し 出典:ソニー

 ウエハーベースの生産能力は、第1四半期が月産13万7000枚(3カ月の平均値)で、「ほぼ想定通りでフル稼働だった」(十時氏)。第2四半期についても、月平均13万8000枚のウエハー投入でフル稼働を見込んでいるという。

 なお、半導体不足の影響については、「コンシューマーエレクトロニクスの分野は、さまざまなところで半導体が使われているので部品のアベイラビリティーが常に心配になるが、セカンドソースを見つけたり、戦略的に在庫を持ったりと工夫をしながら生産・販売に支障を来さないよう今のところコントロールできている」とした。「PlayStation 5(PS5)」の出荷についても、2021年度に1480万台以上、という目標に変更はなく、「それに見合うだけのチップ確保に努めているので、供給自体についてはさほど心配していない」と述べた。

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