STMicroelectronics(以下、ST)は2021年8月17日(スイス時間)、Creeとの150mm SiC(炭化ケイ素)ウエハーに関する今後数年間の供給契約を拡張したことを明らかにした。
STMicroelectronics(以下、ST)は2021年8月17日(スイス時間)、Creeとの150mm SiC(炭化ケイ素)ウエハーに関する今後数年間の供給契約を拡張したことを明らかにした。
STは過去2年にわたり、CreeからSiCウエハーを調達する複数年契約を連続して増額。2019年1月に2億5000万米ドルでスタートした契約を、2019年11月には5億米ドルに倍増させている。今回の契約改定では、今後数年間にわたってCreeがSTに150mmのSiCベアおよびエピタキシャルウエハーを供給することを求めており、契約金額は8億米ドルを上回るという。
STの広報担当者は米国EE Timesに対し、「契約期間は限定的であるが、具体的な長さについては公表できない」と語ったが、「当社は、2024年までにSiCウエハーの需要の40%に社内で対応するという目標を掲げており、顧客と当社の利益を守るために、サードパーティーからの供給を一定範囲に抑える戦略的契約を結んでいる」と付け加えた。
STの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるJean-Marc Chery氏は、プレスリリースの中で、「今回、Creeとの長期ウエハー供給契約を拡張したことで、当社は引き続き、SiC基板のグローバルな供給を柔軟に行うことができる。さらに、既に確保している他の外部生産量と、現在増強している社内生産能力を補完することもできる。今回の契約によって、今後数年間、当社の製品製造事業に求められる量産体制を整備し、数多くの自動車および産業用カスタマープログラムにおける量産や増強に対応できるようになる」と述べている。
CreeのCEOを務めるGregg Lowe氏は、「当社は、デバイスメーカー各社と総額で13億米ドルを上回る長期ウエハー供給契約を結び、業界のシリコンからSiCへの移行を推進する取り組みを進めている。SiCベースのアプリケーションは今後数十年にわたる成長機会が期待されるが、当社は、パートナーシップと生産能力の拡張に向けたと多額の投資によって、この成長機会を十分に活用できる位置につけている」と述べている。
STは2021年8月上旬、社内の生産能力を高めるために、スウェーデン・ノルショーピン工場で初の200mm SiCバルクウエハーを製造したことも発表した。同社は、最初に製造した200mmのSiCウエハーは結晶転移による欠陥が少なく、非常に高品質であると述べている。こうした低い不良率は、STMicroelectronics Silicon Carbide(旧Norstel/2019年にSTが買収)によって培われたSiCインゴット成長技術のノウハウをベースに達成されたものだ。
品質面での課題をクリアするだけでなく、200mm SiCウエハーへの移行には、製造装置や包括的なサポートおよびエコシステムも一歩前進させる必要がある。STは、サプライチェーン全体をカバーする技術パートナーと協力して、独自の200mm SiC製造装置およびプロセスを開発している。
STは現在、SiC製品「STPOWER」の量産を、イタリア・カターニャ工場とシンガポール・アンモキョ工場の150mmウエハー製造ラインで行い、後工程の組み立てとテストを中国・深セン工場とモロッコ・ブスクラ工場で行っている。
ST オートモーティブ&ディスクリートグループのプレジデントであるMarco Monti氏はリリースで、「200mm SiCウエハーへの移行は、システムや製品の電動化を進める車載、産業分野の顧客に対して大きなメリットを提供する。製品数の増加に伴い、規模の経済を促進する上でも重要になる」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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