IBMの「Telum」プロセッサ、不正をリアルタイムで検知 : 推論用アクセラレーターを搭載
IBMは、トランザクション実行中にAI処理を高速に実行するためのオンチップ・アクセラレーションを搭載したプロセッサ「IBM Telumプロセッサ」について、その詳細を「HotChips」カファレンスで発表した。
IBMは2021年8月23日(米国時間)、トランザクション実行中にAI(人工知能)処理を高速に実行するためのオンチップ・アクセラレーションを搭載したプロセッサ「IBM Telumプロセッサ」について、その詳細を「HotChips」カファレンスで発表した。2022年前半にもIBMシステムにTelumを採用する計画である。
Telumは、IBM Research AIハードウェアセンターが開発した技術と、Samsungの7nm EUV(極端紫外線)リソグラフィを導入したテクノロジーノードを用いている。高度なスーパースカラーとアウトオブオーダー命令のパイプラインを備えた8個のプロセッサコアを搭載した。動作周波数は5GHz以上である。再設計したキャッシュメモリは、1コア当たり32Mバイト。デュアルチップモジュールでは、17のメタル層に220億個のトランジスタを集積しているという。Telumチップは32枚まで拡張可能だ。
シリコンウエハー上のTelumプロセッサ 出典:IBM
Telumを用いると、不正検出やローンの手続き、取引の精算や決済、マネー・ロンダリング防止、リスク分析といった金融サービスのAIに特化したさまざまな処理を、専用のハードウェアで実行することができる。これにより、「不正の検出」にとどまらず、「不正行為を予防する」ことが可能になるという。
IBMがプロセス開発の“契約不履行”でGFに賠償請求か
IBMがGLOBALFOUNDRIES(GF)を契約不履行で訴え、25億米ドルの損害賠償を求めている。IBMはこの訴えをGLOBALFOUNDRIESに通告したが、米国EE Timesに対しては、まだ裁判所には提訴しておらず、従って世間に公表する準備もできていないと伝えてきた。GLOBALFOUNDRIESは既に米国ニューヨーク州最高裁判所に対し、この係属中の訴訟を価値がないものとして却下するよう申し立てを行った。
「VLSI Technologyシンポジウム」の注目論文
今回は、VLSIシンポジウムを構成する「VLSI Technologyシンポジウム」の注目論文を紹介する。なお、これらの注目論文は、VLSIシンポジウム委員会が2021年4月に行った記者会見で紹介されたものだ。
「VLSI Circuitsシンポジウム」の注目論文
2021年6月13〜19日に開催されるLSI関連の国際学会「VLSIシンポジウム2021」。「VLSI Circuitsシンポジウム」の注目論文を紹介する。これらの注目論文は、VLSIシンポジウム委員会が2021年4月に行った記者会見で紹介したものとなっている。
量子コンピュータ実機で有機EL発光材料の性能予測
三菱ケミカルと日本IBM、JSRおよび、慶應義塾大学の研究プロジェクトチームは、量子コンピュータ実機を用いて有機EL発光材料の励起状態を高い精度で計算することに成功した。
IBMが「2nm」プロセスのナノシートトランジスタを公開
IBMは、米国ニューヨーク州アルバニーにある研究開発施設で製造した「世界初」(同社)となる2nmプロセスを適用したチップを発表した。同チップは、IBMのナノシート技術で構築したGAA(Gate-All-Around)トランジスタを搭載している。
IBM、8ビット学習が可能なテストチップを発表
IBM Researchは、2021年2月13〜22日にオンライン開催された半導体業界最大級の国際学会「ISSCC 2021」において、テストチップを発表した。これは、同社が長年にわたり取り組んできた、低精度のAI(人工知能、ここでは機械学習)トレーニング/推論アルゴリズムを具現化したハードウェアだといえる。
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