イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野では、デジタルカメラ向けやスマホ向けイメージセンサーの販売数量増はあったものの、スマホ向けの製品ミックス悪化の影響から、売上高は前年同期比9%減の2783億円、営業利益も同10億円減の497億円で減収減益となった。
一方、通期見通しについては、「足元での軟調な中国スマートフォン市場や半導体全般の供給ひっ迫、東南アジアでのスマートフォン完成品や部材の生産遅延の影響はあるが為替の好影響や費用の抑制などにより、見通しに大きな変更はない」と説明。売上高については前回予想から変更しなかった。また、デジタルカメラ市場の回復や工場自動化ニーズの高まりから、AV、産機向けが「想定を上回るペースで市場が拡大している」とし、営業利益は前回予想から100億円増の1500億円に上方修正した。
スマホ向けイメージセンサーについて十時氏は、「顧客基盤拡大は着実に進んでいるが、2022年度に向けては数量の拡大と高付価値化の実現に必要なロジックウエハーの確保が大きな課題となっている」と説明。「ファウンドリー各社との交渉を続けているが、ひっ迫する需給状況は2022年度も継続することが予測される」と述べていた。また、期待するセンサーサイズの「大判化」トレンドについては、「順調に商談は進んでおり、大判化トレンドは続くと思っているが、『中国の特定顧客』が引っ張っていこうとしていたので、その抜けた穴は必ずしも埋まっていないと理解している」と語っていた。
なお、ウエハーベースの生産能力は、第2四半期が月産13万9000枚(3カ月の平均値)で、「ほぼ想定通りでフル稼働だった」(十時氏)。第3四半期についても、月平均13万8000枚のウエハー投入でフル稼働を見込んでいるという。
同社は今回、TSMCが2021年10月に発表した日本での新工場建設計画について言及した。同社は、イメージセンサー製造工程のうち、ロジックウエハー生産のほとんどを外部委託しており、十時氏は、「長期にわたる世界的な半導体不足が予測される中、ロジックウエハーの安定調達は重要な事業課題だ。TSMCの工場建設はその解決策となり得る」と説明。「TSMCと経済産業省と協議し、同社日本工場をロジックウエハー調達先に加えること、当社の持つ日本での半導体工場運営のノウハウを生かし、新工場の立ち上げに協力していくことなどについて、検討を進めている」と語った。なお、ソニーの出資の有無やその金額についての質問も出たが、十時氏は、「現在包括的な検討、協議をしている段階だ。決定すれば速やかに説明する」と述べるにとどめた。
十時氏は、また、「世界最先端の半導体生産技術を持つTSMCとのパートナーシップをより一層強め、深めていくことも大いに意義があるものと考えている」とも述べていた。
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