インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、「ET&IoT 2021」で、60GHzスマート電波センサーモジュール「NJR4652」シリーズや、PSoC MCUを用いてエッジAIを実現するための「ModusToolbox Machine Learning」ソリューションなどを紹介した。
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は、「ET&IoT 2021」(2021年11月17〜19日、パシフィコ横浜)で、60GHzスマート電波センサーモジュール「NJR4652」シリーズや、「PSoC」MCUを用いてエッジAIを実現するための「ModusToolbox Machine Learning(ML)」ソリューションなどについて、デモを交え紹介した。なお、NJR4652シリーズは、主催者による「ET&IoT Award 2021」で、「IoT Technology優秀賞」に選ばれた。
NJR4652シリーズは、インフィニオン製でアンテナを内蔵した60GHzレーダーICおよび、RF制御や信号処理を行うARM Cortex-M4FベースのMCU「PSoC 6」などを内蔵している。周辺部品も含めてこれらを新日本無線が1パッケージに集積した。
パッケージの外形寸法は10.0×13.4×1.2mmと極めて小さい。国内で利用できる技術基準適合認定を取得した60GHzのモジュール製品としては、世界最小レベルだという。60GHzレーダーIC自体は既に、スマートフォンにも採用されている。
NJR4652シリーズには、インフィニオンが開発した人流検知用の「Smart Entrance Counter Solution」や、存在検知用の「Presence Detection」といったターンキーソフトウェアも搭載されている。このため、エントランスにおける入退出頻度の検出や、会議室などにおける人の存在検出といった応用システムの開発を、迅速かつ容易に行うことができる。今後も新日本無線を含め、さまざまな用途に向けたターンキーソフトウェアを開発し、提供していくことにしている。
ブースでは、NJR4652シリーズを用いて、検出対象までの距離を測定するデモを行った。デモ機の60GHzレーダーICには、送信アンテナ1個と受信アンテナ3個が組み込まれている。デモ機は周波数帯域幅が500MHzで、距離分解能は数十センチメートルだという。「使用する周波数帯域幅をソフトウェアで変更すれば、距離分解能をさらに高めることができる」(説明員)という。
また、PSoC MCUを用いてエッジAIを実現する開発環境ModusToolbox MLを紹介した。ModusToolbox MLでは、設計者がディープラーニングベースのMLモデルを評価し製品化するためのミドルウェアやソフトウェアライブラリー、ML専用ツールなどを提供する。
ModusToolbox MLを用いることで、「TensorFlow」など一般的に用いられているディープラーニングフレームワークを、PSoCに直接実装することができる。しかも、組み込みプラットフォーム用にモデルを最適化して、サイズや複雑さを軽減したりテストデータに対して性能を検証したりすることも可能だという。
ブースでは、「PSoC Pioneer Kit」とモーションセンサーを組み合わせたモジュールを用い、ジェスチャーを検知するデモなどを行った。具体的には、「円形」「四角」「左右」の移動を検出するための学習データを実装し、モジュールの動きをリアルタイムに検知してみせた。
この他、「Arm PSA(Platform Security Architecture)」のLevel 2認証を取得した「PSoC 64 Standard Secure」MCUを用い、ファームウェアを安全にアップデートできるデモなどを行った。PSoC 64 Standard Secureは、パーソナルヘルスケアデバイスやスマートホームセキュリティなどの用途に適しているという。ブースでは、手書きした特定の数字を認識できるよう学習した2種類のデータを安全に書き換えながら、入力した数字を正しく認識するデモを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.