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Siインターポーザを樹脂基板に変更した低コスト版の「CoWoS」福田昭のデバイス通信(337) TSMCが開発してきた最先端パッケージング技術(10)(2/2 ページ)

» 2021年12月16日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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樹脂基板の再配線層をインターポーザに

 始めは「CoWoS_R(RDL Interposer)」の概要を説明しよう。「CoWoS_R」はSiインターポーザの代わりに、樹脂基板の再配線層(RDL)をインターポーザに利用する。RDLインターポーザの上に載るシリコンダイとの間は、マイクロバンプで接続する。RDLインターポーザとパッケージ基板との間は、C4バンプでつなぐ。パッケージ基板は通常、BGAタイプである。

 RDLインターポーザは6層の銅配線と高分子絶縁材料によってシリコンダイ間とシリコンダイ-パッケージ基板間を接続する。銅配線の幅/間隔は2μm/2μmとかなり狭い。6層の銅配線は、信号線の両隣を接地線で囲んだ回路(コプレーナ線路)にする、中間の配線層を接地面(グラウンドプレーン)とする、といった工夫によって信号品質と電源品質を確保している。

「CoWoS_R(RDL Interposer)」の断面構造例[クリックで拡大] 出所:TSMC

小さなシリコン基板を埋め込んでダイ間の広帯域高密度接続を実現

 続いて「CoWoS_L(Local Silicon Interconnect + RDL Inerposer)」である。インターポーザの材料はモールド樹脂であり、モールド樹脂の両面に比較的広い配線幅のRDLを設けてある。またモールド樹脂を貫通するビア(TIV:Through Interposer Via)によって表裏間で信号と電源系を接続する。

 広帯域高密度のシリコンダイ間接続は、サブミクロン寸法の高密度な多層銅配線を形成した小さなシリコン基板「シリコンブリッジ」が担う。シリコンブリッジは、モールド樹脂インターポーザで2つのダイが隣接している部分に埋め込む。

「CoWoS_L(Local Silicon Interconnect + RDL Inerposer)」の構造例。左はレイアウトと「シリコンブリッジ(LSI:Local Silicon Interconnect)」の位置(点線部分)。ASICとHBMの接続にシリコンブリッジを利用する。右は断面構造例[クリックで拡大] 出所:TSMC(Hot Chips 33の講演「TSMC packaging technologies for chiplets and 3D」のスライドから)

 モールド樹脂に埋め込む小さなシリコン基板にはほかに、「IPD(Integrated Passive Device)」と呼ぶ、受動素子アレイを高密度に作り込んだ基板がある。IPDをASICダイあるいはSoCダイの直下にレイアウトすることで、信号品質を高めたり、電源電圧変動を抑制したりする。

「CoWoS_L(Local Silicon Interconnect + RDL Inerposer)」の断面構造例[クリックで拡大] 出所:TSMC

(次回に続く)

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