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東芝のニアラインHDD出荷が急増中福田昭のストレージ通信(211)

東芝のデバイスおよびストレージ事業担当米国法人であるTAEC(Toshiba America Electronic Components, Inc.)が公表した、2021年のニアラインHDDの出荷実績を紹介する。

» 2022年02月10日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

四半期ベースで過去最高の出荷台数を更新

 東芝のデバイスおよびストレージ事業担当米国法人であるTAEC(Toshiba America Electronic Components, Inc.)は、ニアライン向けハードディスク装置(ニアラインHDD)の出荷実績を昨年(2021年)から四半期ごとに公表してきた。このほど昨年(2021年)の四半期別出荷実績がまとまったので、ご報告したい。公表された実績は出荷台数と総出荷記憶容量である。

 ニアラインHDDの出荷台数は、2021年第1四半期(1月〜3月期)が211万台、同年第2四半期(4月〜6月期)が279万台、同年第3四半期(7月〜9月期)が283万台、同年第4四半期(10月〜12月期)が289万台となった。

 各四半期の増減を見ていく。第1四半期は前年同期比11%増である。前四半期(前期)比は31%増と前の四半期と比べて大きく増えた。第1四半期のニアラインHDD出荷台数は東芝グループとしては過去最高を記録したとする。

 第2四半期は前年同期比を公表していない(第2四半期の実績を公表した2021年8月9日付のニュースリリースから)。前四半期(前期)比は32%増と第1四半期に続けて大幅に伸びた。プレスリリースでは過去4四半期の平均増加率が35%に達し、HDD業界全体の平均を超えたとする。

 第3四半期は前年同期比が68%増と前年比が一気に伸び、前期比でも増加した。第4四半期も前年同期比は80%増と前年比が大きく伸びている。前期比でもわずかに増えた。少なくとも4四半期連続で過去最高の出荷台数を更新したことが分かる。

ニアラインHDDの出荷台数と総出荷記憶容量の四半期実績。東芝グループのHDD事業担当米国法人TAEC(Toshiba America Electronic Components, Inc.)が公表したニュースリリースをまとめたもの[クリックで拡大]

四半期ベースで総出荷記憶容量も過去最高を更新

 ニアラインHDDの総出荷記憶容量は、2021年第1四半期(1月〜3月期)が25.6 EB(エクサバイト:1018バイト)、同年第2四半期(4月〜6月期)が34.15EB、同年第3四半期(7月〜9月期)が33.33EB、同年第4四半期(10月〜12月期)が33.81EBである。

ニアラインHDDの出荷台数(棒グラフ、左軸)と総出荷記憶容量(折れ線グラフ、右軸)の推移。TAEC(Toshiba America Electronic Components, Inc.)が公表したニュースリリースをまとめたもの[クリックで拡大]

 各四半期の増減を見ていく。第1四半期の総出荷記憶容量は前年同期比53%増、前四半期(前期)比47%増といずれも急増した。第2四半期は前年同期比を公表していない。前四半期(前期)比は33%増と前期に続けて大きく伸び、過去最高を更新した。過去4四半期の平均増加率は46%に達した。

 第3四半期は総出荷記憶容量が前年同期の約2倍に達した。なお市場調査会社TRENDFOCUSの調べによると、第3四半期のHDD業界全体のニアラインHDD出荷は台数が1975万台、記憶容量が254EBである。単純計算だと、東芝のシェアは台数が14.3%、記憶容量が13.1%になる。第4四半期も総出荷記憶容量は前年同期比94%増と高水準を維持した。

 なお東芝グループは現在、エンタープライズ向けの高性能HDD「ALシリーズ」、エンタープライズ向けの大容量HDD「MGシリーズ」、クラウドデータセンター向けの大容量HDD「MGシリーズ」、クライアント向けの監視カメラ用HDD「SVシリーズ」、クライアント向けの映像記録用HDD「MQシリーズ」、デスクトップPC向けHDD「MDシリーズ」および「DTシリーズ」、クライアントノートPC向けHDD「MQシリーズ」などのHDD製品を提供している。

(次回に続く)

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