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» 2022年04月19日 11時30分 公開

“真の4Dセンサー”を実現するSiLCのFMCW LiDARロボットや自動運転車に向け(2/2 ページ)

[Maurizio Di Paolo Emilio,EE Times]
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FMCW技術を低コスト、小型、低消費電力で実現

 Eyeonicセンサーは、他の類似する競合ソリューションとは異なる。そうしたソリューションは2ないし3、あるいは4個ものチップを必要とし、それらをある種の結合オプティクスやファイバーに接続させなくてはならない。Muenster氏は「さらに、それを行うたびに3dBから10dBの範囲で光子を失うことになる。貴重な光子を失いたくはないはずなので、本来ならばそうした余裕はない」と述べた。

 従来型のLiDARとのもう1つの大きな違いは、同デバイスをシステムレベルで導入するために利用される技術だ。既存の3Dビジョンシステムは、ToF(Time of Flight)技術を用いることで、905nmの波長と高感度検出器を備えた高出力レーザーに依存している。それらの技術の初期バージョンは、自動運転車の実験に早期に導入されるほど十分に成功していた。だが、製造プロセスが高コストであるため、解像度やコスト効率の高いスケーリングは制限されてきた。さらに、目の保護の問題により範囲が限られてきた他、マルチユーザーによるクロストークが幅広い導入を妨げている。

 基本的に、ToFベースのセンサーは1つ以上のレーザーパルスを伝送し、それが検出器に戻るのを待ってから、往復時間を計算する。程度の差はあるが1センチあるいは(大半の場合)数センチの精度を発揮する。

 Muenster氏は「一部の人々はToFに興味をそそられる。なぜなら、905nmの波長に求められるCMOS検出器は、容易に製造可能で低コストだからだ。だが、このソリューションには、非常に注意深くアラインしなくてはならない複数のチップが必要になる」と述べた。

 目の保護の規制に対する懸念に対処し、マルチユーザーからの干渉がほとんどない状態で大量の実装を可能にするには、1550nmの波長でFMCW技術へ移行することが広く認識されている。しかし、費用やコンポーネント数が多く必要となることから、この手法が幅広く使われることはこれまでなかった。

 SiLCによると、同社のシリコンフォトニクス統合プラットフォームは、必要な全ての高性能コンポーネントを、既存の半導体製造プロセスを用いて単一のシリコンチップへ統合するものだという。その結果、低コスト、小型、低消費電力というコスト効率の高いソリューションとなっている。シリコン製造によって、複雑なガジェットや技術を低コストで大量にスケールアップすることが可能になる。

FMCWの利点

 FMCWは、コヒーレントドップラーレーダーで幅広く使われている技術である。そのようなレーダーに用いると、FMCWは経時的に伝送される。その後、リターンパルスが戻ってくると、伝送されたパルスと受信したパルス間の周波数差(オフセット)を計算できる。ドップラー効果によって、このオフセットは距離と検出対象(反射物体)の速度の関数となる。これがコヒーレントレーザーの動作原理だ。

 FMCWには、多くの利点がある。第一に、太陽光を鏡で直接センサーの中心に反射させても、その影響を受けることがないのだ。また、遠距離でもミリ単位の極めて高い精度が得られ、遠距離での検出が可能になる。

 また、ToFと比べ、同じ距離を計測するために必要な電力が非常に少ないことも大きな特長だ。さらにEyeonicセンサーは、そのコヒーレンス性から、対象の速度を瞬時に測定する機能も実現し、実質的に”真の4Dセンサー“となる。SiLCは、チップ統合に加え、二重偏波の強度情報も提供し、材料識別や表面分析も可能にした(図2参照)

図2:偏光強度 出所:SiLC Technologies

 Muenster氏は、「マシンビジョンシステムは、速度により検出された物体の周囲に輪郭線を描くことができ、偏光強度によってその物体が何であるかを判断することができる。速度ベクトルがあるため、次に対象物がどこに来るかはすでに分かっている。そのため、機械学習やニューラルネットワークのトレーニングを用いて、その情報を推測する必要もない」と説明している。

 同ソリューションは、スキャナーにも依存しない。つまり、どのような種類のスキャナーでも動作可能であり、フレームレートと解像度は、特定のアプリケーションに応じて設定が可能だ。

 Eyeonicセンサーは、ファイバーピグテール構成とファイバーレス構成の両方で提供する。前者は、FMCW LiDARトランシーバーとスキャニングユニットが異なる場所にある構成に対応することで柔軟な設計を可能とし、後者はコンパクトな構成で低コストを実現する。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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