M9484C VXGでは、出力電力を上げてもEVM(Error Vector Magnitude)を低く抑えることに成功した。例えば5G FR2(Frequency Range 2)の信号を、3G〜39GHzのキャリア周波数において、−15dBm〜5dBmのパワーでスイープ測定したところ、5dBmの出力でもEVMを0.7%に抑えられた。「5dBmという高い電力で線形性を実現できる信号発生器は、なかなかないのではないか」(キーサイト)
DPDベースの補正機能である「INC(Instrument Non-linear Correction)」を用いることで、さらに高い出力でも低EVMを実現できる。
測定系のケーブルやコンポーネント、スイッチによる損失を補正する、Sパラメーターディエンベッド機能も備えている。パワーメーターやパワーセンサーなどを測定の端面に接続し、ケーブルやコンポーネントの特性(Sパラメーター)を測定する。測定したSパラメーターをソース(M9484C VXG)にフィードバックすることで、設定を自動的に補正することができる。
Time to Marketの加速については、包括的なソフトウェアの用意やGUI(Graphical User Interface)の刷新で、より簡単かつ迅速に測定と解析が行えるようにした。
例えば、信号生成用ソフトウェア「PathWave Signal Generation」には、5GやWi-Fiの他、カスタムのOFDM(直交周波数分割多重)の信号などを生成できるオプションが多数用意されている。必要なソフトウェアのライセンスを取得しM9484C VXGにインストールすればよい。「外部のPCで信号を生成し、それをインポートするといった作業は必要ない」(キーサイト)。さらに、3GPP MIMO フェージングモデルとリアルタイムHARQ(Hybrid Automatic Rrepeat reQuest)もサポートしているので、gNB(gNodeB/5Gの基地局)のレシーバー性能試験にそのまま使用することが可能だ。なお、リアルタイムHARQのサポートは、2022年半ばから後半に入手可能になる。
M9484C VXGの基本価格は800万円からとなっている。
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