耐圧1200VのSiC FET、低いオン抵抗×面積を実現 : Qorvo/UnitedSiCの第4世代品 (2/2 ページ)
Dries氏は、「1200VのSiCパワーデバイスは、バス電圧が800Vのシステムへと移行が進む自動車市場の成長の恩恵を受けている。トラクションインバーター、DC-DCコンバーター、OBC(オンボードチャージャー)などの用途で展開される」と述べる。
Qorvoの1200V SiC FETをOBCのフロントエンドに採用した場合の、Gen4のメリット[クリックで拡大] 出所:Qorvo
1200V Gen4 SiC FETの参考価格(1000個購入時)は、70mΩ/TO-247-3Lパッケージ品が6.92米ドル、23mΩ/TO-247-4Lパッケージ品が17.13米ドルとなっている。
Gen4 SiC FETは、米国のファウンドリーを使用し、150mm SiCウエハーにて製造される。Qorvoの傘下となったため、今後量産規模が増える場合については、Qorvoの自社ファブ活用についても、柔軟に考えていくとDries氏は述べる。「常に、最適なオプションを用意していきたい」(同氏)
日本代表を務める望月靖志氏
Qorvo パワーデバイスソリューションズ部門の日本代表を務める望月靖志氏は、「EV(電気自動車)、大型サーバ、産業機器などで大電力化が急速に進んでいて、それに伴いSiC市場は加速的に成長している」と述べる。Infineon TechnologiesやSTMicroelectronics、ロームなどの競合に比べ、「日本での知名度はまだ低いが、UnitedSiC/Qorvoの技術は、他社にはないほど最先端であり、国内からの関心は強いと感じている」と同氏は続ける。「最先端というのは、単位面積当たりのRDC(ON) が低いということ。面積を抑えつつ低いRDC(ON) を実現できるUnitedSiCのアーキテクチャは、他社に対して圧倒的に強みを持つ技術だ。国内販売代理店(マクニカ)や本社のWebサイトへのアクセス数も右肩上がりで、国内での知名度は上がってきているのではないか」(望月氏)
Dries氏も、「Qorvoは性能面、サポート面でも強く、この分野でのパワープレイヤーとして知られるようになっている」と述べた。
オン抵抗6mΩ品など耐圧750VのSiC FETを発表
米国UnitedSiCは、耐圧750Vでオン抵抗が6mΩと小さいSiC(炭化ケイ素)FETを発表した。競合するSiC MOSFET製品に比べオン抵抗は半分以下で、短絡保証時間定格は5マイクロ秒を実現している。
「業界最高の性能指数を実現」する750V耐圧SiC FET
米国UnitedSiCは2020年12月1日(現地時間)、同社の「第4世代SiC FET」として、750V耐圧の新製品を発表した。同社は、単位面積当たりのオン抵抗やスイッチング性能など、「業界最高の性能指数」を実現したと説明している。またコスト面でも、「スーパージャンクション(SJ)構造のシリコンMOSFETのプレミアム品とほぼ同水準の価格だ」という。
脱炭素追い風にSiCなどの開発を加速、三菱電機
三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)のパワーモジュール製品群などを展示した。
ルネサスが甲府工場を再開、300mm対応でパワー半導体の生産へ
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年5月17日、2014年10月に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)を、300mmウエハー対応のパワー半導体生産ラインとして稼働を再開すると発表した。設備投資は900億円規模で、2024年の稼働再開を目指す。
SiCを取り巻く環境、「この2年で変わった」
ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2016」(2016年5月10〜12日)に出展した米国のUSCi(United Silicon Carbide, inc.)は、SiCパワー半導体に対する認識がここ数年で大きく変わったと語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.