富士電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展、産業、自動車分野向けの第7世代IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)搭載パワーモジュールなどを展示した。
富士電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展、産業、自動車分野向けの第7世代IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)搭載パワーモジュールなどを展示した。
2024年3月期を最終年度にした5カ年の中期経営計画で、パワー半導体関連で合計1200億円の設備投資を実施する計画を公表していた同社。2022年1月にはさらに、富士電機津軽セミコンダクタ(青森県五所川原市)においてSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の増産に向けた設備投資を行うとも発表。「設備投資額は1900億円にまで拡大する見通し」としており、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)で高まる需要に向け、積極的な姿勢を示している。
今回、同社ブースでは、主力のIGBTおよび開発を進めるSiCパワーモジュールなどを産業、自動車の分野別に分けて展示していた。
産業分野の製品としては、第7世代IGBT搭載の大容量パワーモジュール「HPnC」や小容量向けのSmall IPM(Intelligent Power Module)などを展示。同社説明担当者は、「主力の第7世代IGBTはパワーモジュールのほか、IPMも2021年度にラインアップが出そろった。ほぼ全ての第7世代IGBT製品がそろい採用が進んでいる」と説明した。
さらにHPnCについてはSiC製品も開発中といい、そのラインアップを展示で紹介(1700V/1500A品および、3300V/750A品など)。説明担当者は、「HPnCは内部インダクタンスを大幅に低減しており、SiCの高速スイッチングに適したパッケージだ」と語った。
同社が開発する第2世代トレンチゲートSiC MOSFETは、インバーター動作条件において、損失を第7世代IGBTと比較して約70%削減、第1世代のトレンチゲートSiC MOSFETとの比較でも23%低減可能という特性を持つ。
自動車分野の製品では、注力するRC-IGBTモジュール搭載の直接水冷パワーモジュール「M660」などのほか、開発中の製品プロトタイプとして、モーター出力から350kWまで対応する高電力密度All SiC 6in1モジュール「M683 SiC」も展示していた。
M683 SiCは、開発中の第3世代SiC-MOSFETのほか、冷却器一体型フィン、銀焼結材接合技術、樹脂封止技術を採用したことによって高性能/高信頼性を実現したもの。さらに、SiCの高速スイッチングを実現するため、低インダクタンス配線技術も適用しているという。
説明担当者は、「IGBTと比べ少しコストアップになったとしても小型、軽量化に大きく貢献できるという利点から自動車向けではSiC適用の動きがかなり早まっており、われわれも自動車向けの開発を加速している」と述べていた。
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