P-Roboでは、アームロボットなどのハードウェアも、画像認識システムや操作画面といったソフトウェアも両方、TechMagicが開発を手掛けていることも特長だ。「こうしたシステムでは通常、ハードかソフト、どちらかの開発のみを手掛けることが多いが、当社は両方行っている」(TechMagic)。画像認識システムについても、AIモデル生成から推論用アルゴリズムの開発まで、TechMagicが手掛けた。
さらに、P-Roboは組み合わせが自由なモジュール型なので、要望に合わせて拡張や変更もしやすい。エビノスパゲッティに導入されたP-Roboは8個のモジュールで構成されている。
プロントコーポレーション 常務取締役の杉山和弘氏は、飲食業界の人材不足の解消には調理の自動化技術も重要としつつ、P-Robo開発において何よりもこだわったのは「おいしさの追求」だと強調する。「調理ロボットという技術の面白さだけでは続かない。おいしくなければお客さまは来てくれない。それはPRONTOなどを約30年にわたり運営する中で痛感していることだ」と語った。
TechMagicの代表取締役兼最高責任者を務める白木裕士氏は、「スマートフォンから1クリックでおいしい物を自動調理できるロボットを開発したいという思いで、2018年2月にTechMagicを創業した。当時は、『アイデアが未来的過ぎる』『まだ市場がない』といった声がほとんどだったが、プロントコーポレーションは違った。『面白い。こんな調理ロボットがあったらいい』と言っていただいたことをよく覚えている」と述べる。「当初は、人手不足解消に向けた調理の自動化がテーマだったが、開発を進めていくうちに、熟練のシェフの味を再現するというテーマも加わった。当社は、自動調理ロボットを日本のみならず世界に展開していけると確信している。さらに、日本のモノづくりのと食文化を掛け合わせることで、世界と渡り合っていけると考えている」(白木氏)
エビノスパゲッティのキッチンでは、1〜2人のスタッフで切り盛りすることを想定している。
杉山氏は「人とテクノロジーの融合によって、持続可能な飲食業界を実現できれば」と強調した。
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