世界3大シリコンウエハーメーカーの1社である台湾GlobalWafersは、米国テキサス州シャーマンに300mmウエハー工場を新設する計画を発表した。同社にとって米国内での投資計画は、過去20年間で初めてのことだ。
世界3大シリコンウエハーメーカーの1社である台湾GlobalWafersは、米国テキサス州シャーマンに300mmウエハー工場を新設する計画を発表した。同社にとって米国内での投資計画は、過去20年間で初めてのことだ。
同社は、「このグリーンフィールド投資は、2022年中に予定している1000億ニュー台湾ドル(34億米ドル)に達する見込みの生産能力拡大計画に沿ったものだ」としている。
今回のプロジェクトは、米国政府が掲げる、「低迷する米国半導体業界を再構築する」という目標をサポートすることの表明といえる。米国は現在、世界半導体生産能力全体に占める割合が約12%にとどまっている。バイデン政権は、「520億米ドル規模の刺激策パッケージから成る『CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors) Act』が議会を通過しなければ、GlobalWafersのプロジェクトの実現は危うくなるだろう」との見解を示す。
米国商務省長官のGina Raimondo氏は、テレビ放送されたCNBCのインタビューの中で、「GlobalWafersの投資計画は、CHIPS Actの議会通過が条件となる。同社のCEO(最高経営責任者)が自ら私にそう語り、今日もまた同じ発言を繰り返した」と述べている。
またRaimondo氏は、「米国議会は、数週間以内に刺激策パッケージを通過させるべきだ。さもないと、GlobalWafersのような投資計画が、遅延したり中止になったりするだろう」と警告する。
「半導体メーカーは2022年秋までに、増加の一途をたどる膨大な半導体需要に対応するための投資判断を実行しなければならない。GlobalWafersが米国を投資先に選んだのは、数週間以内に刺激策が議会を通過すると信じているからだ。迅速に対応することで、サプライチェーン全体の中の、多くの企業が米国への投資を前進させるために必要な、確信を与えられるようになる」(Raimondo氏)
Washington Postによると、例えばIntelやGlobalFoundriesなどは、刺激策の議会通過が遅れているために、米国での半導体生産拡大計画を遅延させようとしているようだ。
GlobalFoundriesのグローバル政府業務担当マネージングディレクターを務めるSteven Grasso氏は、Washington Postのインタビューの中で、「CHIPS Actは、米国半導体業界の世界競争力を高めるための法案だ。同法による資金提供が議会を通過すれば、当社が米国における生産能力を拡大していくための投資率や投資速度に、影響を与えるだろう」と述べている。GlobalFoundriesは、米国ニューヨーク州マルタにある工場を拡充する計画を立てている。
GlobalWafersの300mmウエハー工場は、ディナープレートとほぼ同じ大きさのウエハーを製造し、GlobalFoundriesやIntel、Samsung Electronics、Texas Instruments(TI)、TSMCなどが近年発表した米国内の新しい半導体工場に供給する予定だという。世界ウエハー生産量のシェアは、アジアが大半を占めている。このため米国では、半導体生産のコストが高く、国内のサプライチェーンが窮地に陥っているという状況にある。
GlobalWafersのCEO、Doris Hsu氏は、「世界的な半導体不足と地政学的な懸念が続く中、われわれはこの機会を利用して、米国の半導体サプライチェーンの回復力の問題に取り組む。GlobalWafers USAはウエハーを現地で生産/供給し、それによって二酸化炭素排出量を大幅に削減する」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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