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JSR、異種材料の界面制御が可能な新材料を開発高い密着性と分散性を実現

JSRは、異種材料の界面制御が可能な新材料「HAGシリーズ」を開発した。高い密着性と分散性を実現することができるという。

» 2022年07月07日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

SDGsに対応、原料の一部にバイオ原料由来成分を採用

 JSRは2022年7月、異種材料の界面制御が可能な新材料「HAGシリーズ」を開発した。高い密着性と分散性を実現することができるという。

 新たに開発した界面制御ユニット(NewCore)は、さまざまな異種材料を高い密着力で接合することが可能となる。例えば、金原子への安定化エネルギーは、従来のフェニル構造と比べ極めて大きく、高い密着力があることを確認した。

 また、添加材料としての活用も可能である。用途に応じて溶解性や相溶性、熱特性、吸水性、電気特性などを最適化するために、無機や有機フィラーなどを添加するが、これらを高密度かつ均一に分散することができるという。末端機能化も可能で、硬化樹脂と架橋反応可能な官能基を導入したグレードも用意した。なお、開発した材料は、原料の一部にバイオ原料由来成分を用いるなど、SDGs(持続可能な開発目標)にも対応している。

HAGシリーズの主な特長(クリックで拡大) 出所:JSR

 HAGシリーズは、さまざまな異種材料の接合で、強力な密着力を実現した。室温ラミネートによる密着性にも優れているという。JSRは、接着状態での電気絶縁性についても、高度加速寿命試験(HAST試験)や絶縁破壊電圧評価を行い確認した。

密着力の事例 出所:JSR
高度加速寿命試験と絶縁破壊電圧評価を行った結果(クリックで拡大) 出所:JSR

 分散剤としての効果も検証した。シリカフィラーをHAGシリーズでプレ分散した分散液を調整後、エポキシ樹脂を追加したフィラー分散液を作製した。この分散液を一晩放置したが、シリカフィラーの沈殿は見られなかったという。一方で、HAGシリーズを用いないエポキシ樹脂とシリカフィラーの分散液は、シリカフィラーが沈殿していることを確認した。

フィラーの分散性を実験した結果 出所:JSR

 HAGシリーズは、主材樹脂として使用することも可能である。HAGシリーズにフィラーを分散させた分散液は、高い保存安定性を示し、フィルム化も容易だという。しなやかな有機−無機複合フィルムが得られ、冷熱サイクルなどの衝撃試験においても、高い信頼性を示すことが分かった。エポキシ樹脂などを併用すると、弾性を制御できることも確認した。

分散液は高い保存安定性を示し、フィルム化も容易 出所:JSR

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