AI(人工知能)チップを手掛けるAlchip Technologies(アルチップ・テクノロジーズ、以下Alchip)は、強豪がひしめく最先端プロセスノードの分野において競争を繰り広げている。同社は2023年初頭に、「業界初」(同社)とする3nmプロセス適用のテストチップを発表し、大手ファブレスメーカーの仲間入りを果たす予定だという。
AI(人工知能)チップを手掛けるAlchip Technologies(アルチップ・テクノロジーズ、以下Alchip)は、強豪がひしめく最先端プロセスノードの分野において競争を繰り広げている。同社は2023年初頭に、「業界初」(同社)とする3nmプロセス適用のテストチップを発表し、大手ファブレスメーカーの仲間入りを果たす予定だという。
Alchipは、TSMCの顧客企業であるNVIDIAやQualcommなどのメーカー各社とともに、TSMCのプロセスデザインキット(PDK)「N3E」を使用して最新ノードの評価を行っている。N3Eは、TSMCが2022年後半に生産開始を予定している3nmプロセス技術「N3」の、派生プロセスである。
Alchipのエンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデントであるLeo Cheng氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、「当社は全ての地域別市場において、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やAI、GPUなどの分野に携わる、ティア1の顧客企業を数多く抱えている。中でも、データセンターアプリケーション分野の顧客企業は、電力に対する関心が非常に高い」と述べる。
Cheng氏は、守秘義務契約に基づき顧客企業の名を明かすことはできないとしながらも、IaaS(Infrastructure as a Service)分野における最大規模のデータセンタープロバイダーの1社が、米国企業であることを明かした。また同社の顧客リストの中には、日本最大手のAIメーカーが1社と、HPC分野の最大手である中国メーカーも1社入っているという。
HPCは、半導体業界の中でも最も急速に成長を遂げている分野の一つだ。しかし、データセンターやクラウドコンピューティングプロバイダーは、HPCチップを使用することによって膨大なエネルギーを消費するため、地球温暖化の最も大きな要因の一つとなっている。このためAlchipの顧客企業は、エネルギー効率を最優先事項に掲げている。
顧客企業は通常、例えばTFLOPS/Wなどのように、メーカーのエネルギー消費量の基準値を設定している。
Cheng氏は、「顧客企業は、レギュレーター側のごくわずかな電圧補償にも注意を払っている。例えば、公称電圧が0.85Vの場合、その4%に相当する35mVの偏差は、データセンターの電圧補償において非常に重要だといえる。実際に、エネルギー消費量をかなり削減することが可能だ」と述べる。
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