SiFiveが日本支社設立へ、いずれは開発も視野に : 急速に成長するRISC-V市場 (2/2 ページ)
RISC-V市場は現在、急速に成長している。Rogan氏は「特に中国、韓国での注目度が高い」と述べる。さらに中国やインドでは、RISC-Vの導入を国家レベルで支援している。「中国での動きがRISC-Vエコシステム形成の原動力になった」(Kang氏)
Semico Researchの予測によれば、2025年までに累計624億個のRISC-Vコアが出荷されるという。RISC-Vを搭載したSoC(System on Chip)の出荷数は、2020年から2027年で、年平均成長率73.6%で増加するとも予測している。Kang氏は、「2022年上半期の段階で既に100億コアが出荷されているので、624億個に達するのは恐らく2025年よりも早くなるだろう」との見解を述べた。
RISC-Vコアの成長予測[クリックで拡大] 出所:SiFive
RISC-Vへの注目度は、NVIDIAによるArm買収の発表で、より高まった。この買収は破談になったが、CPUコアベンダーの中立性についての議論が活発になり、“Armコアの代替品”を探し始めたメーカーも少なくなかった。Kang氏はこれについて「CPUコアやISAの中立性について、業界で危機感が顕在化したのではないか」との見解を述べている。
Intelも、そうした危機感を覚えたメーカーの1社だったのだろうか。同社は2022年2月、RISC-V Internationalにプレミア(Premier)会員として加盟することを発表した。さらに、「Intel 4」プロセスを適用する開発プラットフォーム(開発コード:Horse Creek)には、SiFiveのPerformanceファミリーであるプロセッサコア「P550」を採用する。Horse Creekは2022年後半にもリリースされる予定だ。
Rogan氏は、「SiFiveには見込みがある」と強調した。「日本法人を設立することで、より強く日本の顧客に貢献していく」(同氏)
SiFiveジャパン社長のSam Rogan氏とSiFive 事業開発・顧客体験・コーポレートマーケティング担当シニアバイスプレジデントのJack Kang氏。ちなみに、「ザイリンクスジャパン時代はライバルだったIntelと、これから協力関係になることについてどう思うか」と問われたRogan氏は、「We love Intel」と答えて記者たちを笑わせていた。
ハードもソフトも全てオープンソースのRISC-V開発キット
カナダに拠点を置くOpenHW Group(以下、OpenHW)は2022年6月21日、IoT(モノのインターネット)向けのRISC-Vベース「CORE-V MCU」の開発キットを発表、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2022」(2022年6月21〜23日)でその概要を紹介していた。同キットはハードウェア、ソフトウェアおよび開発ツールなど、全てオープンソースなのが特長だ。
RISC-Vを取り巻く環境が大きく変化した1週間
2022年2月7日の週はRISC-Vエコシステムにとって、非常に重要な1週間だったといえる。一連の発表により、オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)の注目度が高まったのだ。以下に詳しく取り上げていきたい。
IntelがRISC-V Internationalに加盟、投資ファンドも設立
Intelは、「IDM2.0」戦略の拡大を進める一環として、同社のファウンドリーエコシステムに統合可能な技術の開発を支援する10億米ドルの投資ファンドを創設したことを発表した。同社は同時に、新興のRISC-V市場での存在感を高めるための動きも見せており、世界的な非営利団体であるRISC-V Internationalへの加盟も表明した。
マイコンからHPCまで――RISC-Vが目指す“懐の深さ”
2017年12月18日に、「RISC-V Day 2017 Tokyo(リスクファイブの1日)」が開催され、RISC-V会長のKrste Asanović氏らがRISC-Vについて講演を行った。本記事では、基調講演を一部抜粋して紹介する。
SiFiveの最新AI/ML向けRISC-Vプロセッサ
SiFiveは、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2022」(2022年6月21〜23日)において、AI(人工知能)/機械学習(ML)アプリケーション向けRISC-VプロセッサコアIP「Intelligence」ファミリーである「X280」の最新バージョンを紹介した。
ソフトバンク、「Armで半導体史上最大の上場を目指す」
NVIDIAおよびソフトバンクグループは2022年2月8日(米国時間で同7日)、2020年9月に発表されたNVIDIAへのArm売却契約を解消したと発表した。「NVIDIAおよびソフトバンクグループは誠実な努力を続けてきたが、規制上の課題に鑑み、本契約を解消することに合意した」とし、規制当局の理解が得られなかったことを示唆した。
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