安全性と低コストを両立、ソフトウェア定義可能なLiDAR:PreActの「TrueSense」(2/2 ページ)
TrueSenseは、PreActの他の2製品「TrueDrive」と「TrueSim」と連動して機能し、顧客に完全な物体追跡ソリューションを提供する。TrueSenseが“心臓”なら、TrueDriveは近距離物体を検知/追跡するソリューションの“脳”といえる。TrueDriveは、1個以上のTrueSenseが取得したセンサーデータを、物体の迅速な定義、追跡に用いられる統合された3Dポイントクラウドに変換する。TrueDrive1個につき、最大4個のTrueSenseユニットを接続/同期することができ、異なるコンフィギュレーションを実現できる(図2参照)。このデバイスは、物体の定義と追跡、衝突検出、容積測定などを素早く実施するために、並列処理とターゲットとなるAI(人工知能)を採用したハイパーECUを統合している。
図2:TrueDriveをセントラルプロセッサとし、TrueSense、TrueSimと連動して機能させることで完全な物体追跡ソリューションを提供する[クリックで拡大] 出所:PreAct Technologies
TrueSimは、PreActのセンサーとアルゴリズムを正確にモデル化する、物理学ベースの自動車シミュレーターだ。これによりPreActは、高再現度の仮想環境内で顧客のプラットフォーム上のセンサーをシミュレートすることができる。TrueSimは、車両、歩行者、自転車、交通標識、地図などの大規模なライブラリとともに提供される。カスタムオブジェクトを定義し、ライブラリに追加することも可能だ。TrueSimは、正確な光学モデル(回帰反射板のシミュレーションなど)を提供することで、迅速なアルゴリズムプロトタイピングを可能にし、カスタムアプリケーションでセンサーが機能することを保証する。
Drysch氏は、「現実的な環境でLiDARの性能をエミュレートする独自の社内シミュレーションツールがあれば、顧客の要件を満たす能力を評価でき、並行して、そのLiDARに接続する認識ソフトウェアの作成が開始できる」と述べている。
PreActのソフトウェア定義可能なLiDARは、その高い精度から、ロボット工学やファクトリーオートメーションにも適している。これらのアプリケーションでは、1つまたは複数のTrueSenseユニットが既存のセンサーを置き換えることができ、統合が簡素化され、全体的なコストが削減される。
【翻訳:滝本麻貴、青山麻由子、編集:EE Times Japan】
- スキャンパターンを瞬時に切り替えるLiDAR
LiDARの新興企業である米AEye(エーアイ)が、日本市場に本腰を入れようとしている。同社は、CTO(最高技術責任者)であるLuis Dussan氏により2013年に設立された企業で、カリフォルニア州に本拠地を置き、日本、ドイツ、韓国に営業拠点を持つ。日本支社はちょうど1年前となる2021年7月に設立された。【訂正あり】
- “真の4Dセンサー”を実現するSiLCのFMCW LiDAR
SiLC Technologiesは、コヒーレントなビジョンとチップスケールの統合をより広範な市場に提供できるよう、「Eyeonic Vision Sensor(以下、Eyeonicセンサー)」を発表した。Eyeonicセンサーは、二重偏波の強度に関する情報を提供しながら、マルチユーザーによる干渉や環境からの干渉に対する耐性を実現することで、LiDARの性能を新たなレベルに引き上げるものである。
- RTOS+ROSで3D LiDARを動作、セキュリティも保証
Green Hills Software(GHS)は「第25回 組込み/エッジ コンピューティング展【春】」(2022年4月6〜8日、東京ビッグサイト)で、同社の主力製品であるリアルタイムOS(RTOS)「INTEGRITY」や、マイコン用仮想化ソリューション「μ-visor」などのデモを展示した。
- 手のひらサイズで計測距離300mの「LiDAR」を開発
東芝は、大きさが手のひらサイズで最長300mの距離計測を可能にする「LiDAR」を開発した。投光器を小型にできる「モジュール実装技術」および、全ての投光器を同じ向きにそろえる「モーター制御技術」を新たに開発することで実現した。
- SteraVision、可動部のない自動運転用LiDARを開発
SteraVisionは、可動部がない自動運転用の「ソリッドステートLiDAR」を開発した。LiDARによる物体検出と3Dカメラ画像を融合させ、自動運転車向け認識技術(パーセプションAI)と連動させることにより、人間の目のような機能を持った視覚システムを実現できるという。
- 京都大学ら、大幅に小型化したLiDARを開発
京都大学の研究グループは、フォトニック結晶レーザー(PCSEL)を搭載した小型の光測距システム(LiDAR)を、北陽電機と共同で開発した。光源部と受光部を一体化することで、体積を従来比3分の1とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.