図10に、1991年〜2022年Q2までの種類別半導体の四半期ごとの出荷個数を示す。Mos MemoryとMos Microが2021年後半にピークアウトし、LogicとAnalogは急成長を続けているように見える。
ここで、コロナ禍での挙動を把握するために、出荷額の時と同様に、2015年Q1〜2022年Q2までをクローズアップしたグラフを書いてみた(図11)。
Mos Memoryは、出荷額の時ほど顕著ではないが、同じ時期の2021年Q3にピークアウトしている。また、Mos Microも、出荷額と同じ時期の2021年Q4から下落している。
一方、LogicとAnalogは、「コロナ特需」が終わった2020年Q2でも、その出荷額と同様に、依然として成長を続けている。
以下では、これら4種類の半導体について、それぞれ、出荷額と出荷個数の3カ月移動平均の対前年同期比の成長率を見てみよう。特に、コロナ禍での挙動に注目する。
Mos Microの出荷額と出荷個数の成長率を図12に示す。出荷個数の成長率は2021年7月にピークアウトしているが、出荷額の成長率がピークアウトするのは2022年4月である。その差は9カ月もある。
Mos Memoryの出荷額と出荷個数の成長率を図13に示す。出荷個数の成長率は2021年9月にピークアウトしているが、出荷額の成長率がピークアウトするのは2022年1月である。その差は4カ月もある。
Logicの出荷額と出荷個数の成長率を図14に示す。出荷額も出荷個数も、その成長率は2021年6月にピークアウトしている(Logicの出荷額も出荷個数も2022年Q2に至るまで成長を続けているので、この結果には驚いている)。しかし、ピークアウトした後の下落は、出荷個数の成長率の方が大きい。要するに、2つの成長率のピークアウトの時期は同じであるが、ピークアウト後の下落幅が、出荷個数の方が大きく鮮明である。
Analogの出荷額と出荷個数の成長率を図15に示す。出荷額も出荷個数も、その成長率は2021年7月にピークアウトしている(AnalogもLogicと同様に、出荷額と出荷個数が2022年Q2に至るまで増大しているにもかかわらず、その成長率は早々にピークアウトしている)。しかし、ピークアウトした後の下落幅は、Logicと同様に、出荷個数の成長率の方が大きく鮮明である。
ここまでの全ての結果を図16にまとめてみた。
まず、世界半導体市場では、出荷額が2021年Q4でピークアウトしているが、出荷個数はそれより早く同年Q3にピークアウトしていた。次に、それぞれの成長率を分析してみると、出荷額の成長率が2021年10月から下落しているのに対して、出荷個数の成長率は3カ月早い同年7月から下落していた。
次に、Mos Micro、Mos Memory、Logic、Analogの4種類の半導体について、出荷額と出荷個数およびその成長率について、同様の分析を行ってみた。
Mos Microの出荷額と出荷個数は、いずれも2021年Q4でピークアウトしていた。ところが、出荷額の成長率が2022年4月から下落しているのに対して、出荷個数の成長率はそれより9カ月早い2021年7月から下落していた。
Mos Memoryの出荷額と出荷個数は、いずれも2021年Q3でピークアウトしていた。ところが、出荷額の成長率が2022年1月から下落しているのに対して、出荷個数の成長率はそれより4カ月早い2021年9月から下落していた。
LogicとAnalogの出荷額と出荷個数は、2022年Q2に至るまで、成長を続けていた。一方、Logicの出荷額と出荷個数の成長率は2021年6月から下落し、Analogの出荷額と出荷個数の成長率は2021年7月から下落していた。そして、LogicもAnalogも、出荷個数の成長率の下落幅が大きいという特徴があった。
以上から導き出される結論は次の通りである。
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