2017年設立でオランダのデルフトに本社を置くDelft Circuitsは、「Cri/oFlex」と呼ばれる革新的な量子コンピュータ向けケーブル技術を開発した。この技術は当初、大学における研究の一環で作製された量子コンピュータのプロトタイプの接続問題を解決するため開発されたが、現在は、量子コンピューティング向けとして最適な配線の実現を目指している。その結果、以下のような特性を備えた柔軟なマイクロ波ケーブルが開発された。
Cri/oFlexは、柔軟な極低温ケーブルと標準的なRFコネクターを組み合わせることで、シングルチャンネルケーブルとマルチチャンネルケーブルの両方を提供する相互接続ソリューションを実現している。
Delft Circuitsの共同創設者でCEO(最高経営責任者)を務めるSal Jua Bosman氏と販売責任者であるArtem Nikitin氏は、米国EE Timesとのインタビューで、「当社は、量子業界のバリューチェーンにおける特定部分で、最高の量子ハードウェアサプライヤーになりたいと考えている。主にIOシステムに焦点を当てており、対象はセンサーからコンピュータ、バイオメディカルセンシングまで、多種多様なアプリケーションに及ぶ」と述べている。
図2のように、同ケーブルは、ポリイミドと銀を独自に組み合わせて作られており、高いマイクロ波特性と柔軟性を備えた非常に薄いストリップラインチャンネルを実現している。
Nikitin氏とBosman氏は、「当社が手掛けるのはフレキシブルなマイクロ波極低温ケーブルだ。これら全ての特性を同時に備えたケーブルは、これまでなかった」と説明した。
Bosman氏は、「従来、マイクロ波ケーブルは硬く、フレキシブルケーブルは直流(DC)信号用だった。極低温ケーブルは最も実現が難しいものだった」と付け加えた。
さらに、このケーブルは全てのフィルタリング部品(ローパスフィルター、バンドパスフィルター、減衰器)を統合し、極低温における従来のマイクロ波エンジニアリングの課題を克服している。必要な全てのコンポーネントを統合することで、潜在的な故障箇所と取り付け時間を削減し、セットアップの堅ろう性を高めることが可能となった。
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