下図は、S32K39のブロック図だ。CPUは前述の通り「Arm Cortex-M7」を4つ搭載、メモリは最大6Mバイトのフラッシュメモリ、最大800KバイトのSRAMを備える。さらに、DSPコア「CoolFlux」搭載によって、「機械学習やデジタルフィルタリングなど、新しいアプリケーションが実現できる」と説明している。また、逐次比較型(SAR)A-Dコンバーター(ADC)やシグマデルタ(ΣΔ)型ADC、コンパレーターなどのアナログを集積し、外付け部品を減らしコスト削減を実現したほか、OTA(Over The Air)用に高レベルのセキュリティをサポートするハードウェアセキュリティエンジンなどを搭載した。外部インタフェースは6つのCAN FDインタフェースやTSN Ethernet、Zipwireなどを備えている。
NXPはこのS32K39と、パワーマネジメントIC「FS26」および絶縁型ゲートドライバー「GD3162」の組み合わせによって、ASIL D対応のトラクションインバーターソリューションを構築可能としている。また、右下図のように、モーター制御機能付きリアルタイムプロセッサ「S32E2」との組み合わせによって、4輪駆動のEVのモーター制御が可能となるという。
なお、同社は今回、S32K39シリーズと合わせ、モーター制御コプロセッサを搭載しない「S32K37シリーズ」も用意している(下図)。Carlson氏は、「S32K37は、コプロセッサ非搭載以外はS32K39の全機能を備えている。トラクションモーター制御には向かないが、高性能なBMS(バッテリー管理システム)やDC-DCコンバーター、オンボードチャージャーなど、EVのさまざまなアプリケーションに対応可能だ」と述べた。
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