Triolo氏は、「Huaweiは、スマートフォン事業が急激に落ち込んだ後、同社の投資部門であるHubble Technology Investment(以下、Hubble)を介して、中国の初期段階にある半導体エコシステムに出資し、サプライチェーンの再構築とスマートフォンからの転換に取り組んできた。同社は、SMICなどの中国半導体メーカーからのプロセッサ調達量を増やし、データセンターやクラウドサービスなどの新しい事業部門への拡大を進めている。それが、米国にとって危険信号となったのだ」と述べている。
また同氏は、「米国当局が懸念しているのは、Huaweiが最終的に、中国メーカーが付加価値連鎖を生み出し、米国が課している半導体製造ツールへの輸出規制に打ち勝てるようにするためのサポートを提供するのではないかという点であるようだ」と付け加えた。
Hubbleは創設以来、半導体サプライチェーンメーカーを中心とする約100社の企業をサポートしてきた。
Triolo氏は、「Huawei/Hubbleの取り組みの一部として存在するメーカーが、続々と管理下に置かれていくことになるだろう。しかしここでも、2022年10月7日に発表された規制措置では既に、半導体製造装置に必要な要素がターゲットとされている」と述べる。
Financial Timesのレポートによると、中国半導体メーカーだけでなく、米国メーカーであるIntelとQualcommも現在、初期の規制措置で禁止されていない半導体チップをHuaweiに提供しているという。アジアの政府系ファンド(SWF:Sovereign wealth fund)を対象とした世界技術メーカーに資金を提供する投資家は、匿名を条件にEE Timesのインタビューに応じ、「米国政府は、一部の中国メーカーが、より強力かつスマートな取り組みを進めることによって存続し続けていくという、“不都合な真実”への対応に悪戦苦闘している」と述べている。
同氏は、「Huaweiとその多くのサプライヤーは、非常にうまく分割や再編成を行い、軌道修正していくだろう。それが成功すれば、ロールモデルとなる技術メーカーや、その文化だけでなく、米国政府に関する詳細など明らかになるとみられる」と述べる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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