欧州議会の産業・研究・エネルギー委員会(ITRE)は2023年1月24日、欧州委員会(EC)が作成した「European Chips Act(欧州半導体法)」の立法提案を承認することを決議した。
欧州議会の産業・研究・エネルギー委員会(ITRE)は2023年1月24日、欧州委員会(EC)が作成した「European Chips Act(欧州半導体法)」の立法提案を承認することを決議した。
ECは2022年2月8日、世界の半導体生産における欧州連合(EU)の現在のシェアを2030年に20%に倍増させることを目的とした欧州半導体法を提示/公表。以来、同提案はEUの立法プロセスを進んでいる。同法では、430億ユーロの官民投資を集める予定だ。
欧州理事会は、作業部会レベルの議論における代表団の要請を考慮し、提案の明確性と実現可能性の向上および法的確実性の確保に向けて、ECの提案のいくつかの条項を修正した。理事会は2022年11月25日、「欧州の半導体エコシステム強化に向けた措置の枠組みを定める規則(欧州半導体法)の一般的なアプローチ」を提示した。2022年12月1日、欧州半導体法に関する見解、すなわち「一般的なアプローチ」の採択に至った。
2023年1月24日、ITREが欧州半導体法と「Chips Joint Undertaking(半導体共同事業)」に関する2つの法案を採択し、新たなマイルストーンが達成された。
ITREは2022年7月14日に公聴会を開き、欧州議会と専門家パネルは欧州半導体法によって欧州がどのようにして技術競争に復帰できるかについて議論した。同9月21日に報告書の草案が発表され、ECの提案に対する116の修正案が提示された。さらに、同10月13日のITREの会議で、報告書の草案について議論された。ITREの欧州議会議員は688の追加修正案を提出した。ITREでは、ECの提案に対して合計804の修正案が提出され、欧州議会は2023年1月24日、賛成67票、反対1票、棄権4票でこの立法報告書を採択した。
議会が提出した修正案は、主に次世代半導体と量子チップに焦点を当てている。スキル不足に対処し、新しい研究や設計、生産に携わる人材を集めるために、コンピテンスセンターのネットワークを創設するとしている。また、同法は、投資を誘致し生産能力を構築することで、EUの供給保証を強化するプロジェクトをサポートするという。
欧州半導体法の報告官を務めるDan Nica氏は、「欧州半導体法によって、欧州が世界の半導体分野における重要なプレーヤーとしての地位を確立することを望んでいる」と述べている。
「課題に見合った予算と新規の資金調達が必要なだけでなく、EUが研究と技術革新をリードし、ビジネスに適した環境を持ち、迅速な許認可プロセスを持ち、半導体分野の熟練労働者に投資することを確実にしたい。われわれの目標は、欧州の成長を確実にし、将来の課題に備え、将来の危機に対して適切なメカニズムを持つことだ」(同氏)
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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